猫

猫の老後も元気で幸せにしてあげるために考えられる事

人生100年時代と言われている昨今ですが、猫の寿命もだいぶ伸びてきました。その結果、人も猫も、老化が進み介護が必要になる確率が高くなってきています。猫と一緒に暮らす以上は、猫の老化と付き合い、最後まで元気でご機嫌に過ごさせてあげたいものです。

老化が始まる年齢と老化の兆候(サイン)

猫

猫は、何歳から老齢・高齢になるのでしょうか。それには、猫の年齢を人間年齢に換算して考えると分かりやすいです。猫の1歳は人間の15歳、猫の2歳は人間の24歳、その後は、猫は1年で人間年齢の4歳分ずつ歳をとると言われています。猫の場合、7〜8歳を過ぎたあたりから老化の兆候が出始め、12歳(人間年齢64歳)を過ぎると老化の兆候が顕著になるのが一般的です。人間年齢で考えても、納得のいく年齢ではないでしょうか。猫の老化の兆候(サイン)は、下記の通りです。

① 感覚が衰えてくる(よく見えない、耳が遠くなる、臭いがよく分からない等)
② 無関心になってくる(意欲や注意力が低下する)
③ 活動が鈍ってくる(その結果、爪が伸びやすくなる)
④ 睡眠時間が長くなる(時間だけではなく、深くなる)
⑤ 被毛の艶がなくなったり毛並みの割れ目ができたり、色も白っぽく(薄く)なってくる
⑥ 筋肉が落ち、後肢の太腿等が細くなったり背骨のゴツゴツがはっきりわかるようになったりする
⑦ セルフグルーミングをあまりしなくなる(目やになどが目立ってくる)

これらの兆候が出てきたら、あなたの猫も老化現象が出てきたというサインだと考え、徐々に症状の進行に備えた準備を始めましょう。

その症状は老化か病気か

猫 うつ伏せ

老化は病気ではありません。しかし、老化だから仕方がないと思っていたら、病気の症状だったということもあるのです。それくらい、老化の症状と病気の症状はよく似ています。猫に老化の兆候がでてきたら、今まで以上に注意深く観察し、常に状態を把握することが大切です。以下に挙げる観察のポイントを参考にして、高齢猫の状態を把握し、おかしいなと感じたら動物病院に相談してみましょう。

老化により、眼球に透明感がなくなって白濁してきます。ただし、水晶体が白く濁っている場合は、老齢性白内障の可能性が高いです。瞳孔辺りの色を確認して、白く濁っていたら、動物病院で診てもらいましょう。また、歩いている時に家具などにぶつかる場合は、目が見えなくなっている可能性もありますので、注意が必要です。

老化により、歯が抜けたり歯周病になったり、口臭が強くなったりします。特に、歯の色が黄ばんできたり、茶色っぽくなったりします。歯周病は、細菌により内臓疾患の原因になりますので、若い頃から歯磨きの習慣をつけ、しっかりケアしてあげるようにしましょう。それでも酷くなってきた時は、動物病院で診てもらいましょう。

歯肉を指で押した後、離してすぐに赤みが戻れば正常です。戻るのに時間がかかる場合は循環器系疾患の可能性があります。また、歯肉が常に白い(赤みがない)場合は、貧血状態です。耳の先の内側が白い場合も貧血状態です。高齢猫に多い慢性腎臓病の場合、貧血症状が出るので注意が必要です。

歩行

老化により、関節の変形や歩行時の足のふらつきがみられたり、古い爪が剥がれにくくなって変形したり変色したりすることがあります。高齢猫に多い関節炎の場合も、歩行時のふらつきやおかしな歩き方、足を引きずるなどの症状が出ますので、注意が必要です。また、歩行時に足がふらついたり脚が交差したりする場合は、神経疾患の可能性もあります。神経疾患の中でも、脳腫瘍は高齢で発症することが多い疾患です。しかも、脳腫瘍と老化は、歩行以外の症状もよく似ているので、「老化だから」と思い込まずに、おかしいなと思ったら動物病院で診てもらいましょう。

皮膚

背中側の首の皮をつまみ上げたり軽く捻ったりした後、離してすぐに戻れば正常です。しかし、戻るのに時間がかかる場合は脱水しています。時間がかかればかかるほど、脱水の程度は重いと思ってください。高齢になり、食餌量や飲水量が減少してくると脱水症状を起こしやすくなります。また、高齢猫に多い慢性腎臓病は脱水症状を起こすので注意が必要です。

体重

高齢になり、食餌量が減少してくると体重も減りますので、変化に注意しましょう。また、高齢猫に多い甲状腺機能亢進症の場合は、餌を十分食べているにも関わらず体重が減少するので、注意が必要です。

排尿

高齢猫は、慢性腎臓病や糖尿病に罹ることが多いです。尿の色、量、トイレに行く回数、便の硬さに変化がないかを観察することが重要です。多飲多尿の場合は、腎臓疾患の可能性が高いので、注意が必要です。

猫だって痴呆症になる

猫

人も猫も、脳の構造に大きな違いはありません。痴呆症は、脳梗塞や脳出血などの脳の血管障害や、脳神経細胞の減少、体内の酸化物質の蓄積などが原因だと言われています。いずれにしろ、歳をとれば一定の割合で痴呆症が発症すると考えるべきでしょう。

痴呆症の症状と対策

では、痴呆症の主な症状と、それに対してどのような対策を取れば良いのかについて考えてみましょう。

食欲が異常なほど増進する

自分が食事したことを忘れているので、1日の給餌回数を増やしてあげると良いです。ただし、カロリーオーバーしないように注意してください。高齢猫の肥満は、関節の故障を招きやすいです。

夜鳴き

体内時計が狂い、昼夜逆転してしまうので起こると言われています。昼間は日の当たる場所で適度な運動をさせてください。そして、なるべく昼寝の時間を短くできると、夜鳴き予防になります。また、夜寂しくて不安になっている場合もあるので、なるべく飼い主さんの近くで寝かせるようにすると、改善できる場合があります。

徘徊

徘徊は、何の目的もなく歩き回ったり、目の届かない場所に入り込んだりするので、飼い主さんにとってはとても困る症状ですが、具体的な対策がありません。猫の行動範囲を制限し、その中でできるだけ快適に過ごせるようにしてあげましょう。

攻撃行動

痴呆症の症状で恐怖心が増大してしまうので生じる行動です。極力、周囲の変化を最小限に抑えるようにしてあげましょう。急に音がしたり、何かが起きたりすると、怖くて攻撃的な行動に出てしまうのです。後ろから近づいて抱き上げるというような、猫にとってびっくりするような行動は避け、正面から声をかけながら近づく等の配慮をしてあげましょう。また、痴呆症が進むと飼い主さんのことも見分けられなくなることもあります。とにかく驚かしたり怖がらせたりせず、ゆっくりと心を込めて接してあげましょう。

排泄

猫は、歩けなくなるギリギリまでトイレで排泄しようとする動物です。しかし、痴呆症になると所構わず排泄してしまうケースもあります。そんな場合も、決して叱ってはいけません。恐怖心をより増大させるだけです。猫の行動範囲内の床にはペットシーツを敷く等の対策を行いながら、トイレに誘導する等の方法で、排泄はトイレでやるものだという習慣を思い出させるようにしましょう。

介護の心構え

猫 布団の上

老化は、病気ではないので治りません。時間が経てば、老化も進行するのです。したがって、老化とは最後まで付き合っていくという覚悟が必要です。QOL(quality of life)をできるだけ高いレベルで維持することを目標にしましょう。そのためには、仕方ないことと諦めずに、必要な治療や介助は積極的に行うことが必要です。しかし、やり過ぎないことも大切です。なんでもやってあげるのではなく、猫ができなくなったことだけをサポートするという考え方が重要です。

安全な居場所の確保

猫も人間も、老化や介護の基本は同じだと思ってください。脚が弱ってきたり、よく見えなかったり聞こえなかったりしますので、猫にとって安全な居場所を確保してあげることが必要です。家族と一緒の空間の中に、限定された居場所を作ってあげましょう。その場合、出来るだけバリアフリーになるように工夫をしてあげましょう。場所を確保したら、安全確保のために市販のサークル材等を利用して、猫が勝手にそのエリアから出ていけないようにすることが必要です。

専門職の力を借りる

なんでも自分や家族だけでやろうとしても、無理なことは続きませんし、猫にとっても決して良い結果にはならないでしょう。病院や介護シッター等の専門家の力を借りるという決断も必要でしょう。ただし、任せっぱなしにはせず、しっかりと話し合い、納得した上で介護の方針を立てましょう。

寝たきりになったら

色々と手を尽くしても、最後は寝たきりになってしまうことは覚悟しておきましょう。

衛生管理

寝たきりになったら、まずは衛生面に注意してあげましょう。ベッドにはペットシーツを敷き、まめに交換してあげましょう。また、蒸しタオルで全身を拭き、ブラッシング、爪切り、眼・耳の掃除もしっかりと行いましょう。

床ずれ防止

床ずれ防止のために、2〜3時間おきに寝返りをさせてあげる必要があります。床ずれ防止マットを使うことで、多少寝返りの頻度を少なくし、飼い主さんの拘束時間を減らすこともできます。介護用品をうまく利用しましょう。

マッサージ

寝たきりになると運動ができませんので、筋肉や関節の凝り固まりをほぐすためにマッサージをしてあげる必要があります。脚を軽く握って屈伸させたり、お腹や背中などをほぐすようにマッサージしたりしてあげましょう。ただし、痛がった場合はすぐにやめてあげてください。

食餌

寝たきりになった時の食事で注意が必要なのは、食べる時の姿勢です。横向きで首から上だけを持ち上げて食べさせると、食餌が気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎になる可能性があります。犬の伏せのような姿勢にして食べさせましょう。一度に食べる量が減ってしまった場合でも、食餌の回数を増やす等の工夫をして、少しでも必ず食べさせるようにしましょう。固形物を食べられなくなった場合は、流動食にするとか、水はシリンジで飲ませる等の工夫をしてあげてください。

排泄

寝たきりになっても、決まった時間に定期的にトイレに連れて行くことで、なるべくトイレで排泄をさせてあげるようにしましょう。どうしても難しい場合のみ、オムツを利用すると考えることが、猫のためには望ましいと思います。

まとめ

猫 グダグダ

猫も人間も、健康で長生きできる時代になってきました。しかし、それだけ老化とそれに伴う介護の必要は増えてきています。中には、人間も猫も共に高齢で寄り添いながら暮らしている場合だってあります。猫は、犬と違って外で散歩するという習慣がないので、飼い主同士の交流があまりありません。動物病院や介護シッター等のプロの力を借りたり、高齢になる前から猫の飼い主同士の交流の場を見つけたりすることで、お互いに助け合えるような環境を作っておくという心掛けも必要かもしれません。いずれにしろ、猫が、最後まで、できるだけ元気でご機嫌に過ごせるようにしてあげたいものです。

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