猫の歯

猫の歯磨き、どうすれば良い?理想的な歯磨き方法

最近では当たり前の常識になりました。でも、どうすれば上手く歯磨きできるようになるのか、またそれを続けられるのかは、愛猫や飼い主さんによって様々です。歯磨きの必要性をきちんと理解し、長く続けられる方法をみつけることが大切です。

ケアは続けることに意味がある

猫と一緒に暮らしていくのなら、給餌、給水やトイレの掃除は当たり前としても、その他にもきちんとケアをしてあげなければならない事が沢山あります。爪切り、耳掃除、肛門腺絞り、目やに取り等々。歯磨きもその中の一つです。これらのケアは、必ずしも毎日必要なものではありませんが、それぞれに必要な頻度があり、それらをきちんと継続してケアしていくことに意味があります。せっかくケアをしても、それを継続しないことで、大切な愛猫が不快な思いをして過ごしたり、時には病気になったりすることになるのです。今回は、その中から歯磨きについて取り上げ、その必要性や方法について考えていきましょう。

猫に歯磨きってなんで必要なの?

実は、筆者が猫と一緒に暮らし始めた頃は、猫にも歯磨きをする必要があるなんて、夢にも思っていませんでした。なぜなら、猫は自分から歯磨きをしないからです。また、「猫は虫歯にならない」という記事を読んだこともあったからです。ところが、飼い猫が9歳の時に腺がんに罹ったことで頻繁に通院しなければならなくなり、長い間、私がいかに無知な飼い主だったのかを思い知らされたのです。

歯磨きをしないとどうなってしまうの?

腺がんに罹った9歳の雄猫の他にも、同じく9歳の雄猫と8歳の雌猫も一緒に暮らしていましたので、その猫達も一緒に色々と身体チェックをしてもらうようになりました。そして、獣医師から「みんな歯周病ですね」と言われてしまったのです。その時に、獣医師から猫の歯の病気と歯磨きの必要性について教わりました。猫に虫歯がほとんどないというのは本当です。虫歯というのは、口の中が酸性になることで歯が溶けてしまい発症するのですが、猫の口の中はアルカリ性なので虫歯になりにくいのです。しかし、猫に歯磨きをするのは虫歯を防ぐ事が目的なのではなく、歯周病を防ぐ事が目的だったのです。

歯周病とは、歯を支える様々な組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨、エナメル質)の病気のことです。歯肉(しにく)とはいわゆる歯ぐきのこと、歯根膜(しこんまく)とは歯の根元の部分と歯槽骨(しそうこつ)の間にある膜のこと、歯槽骨とは歯を支えている骨のこと、エナメル質とは歯の表面を覆っている真珠のような白い部分のことです。つまり、歯周病とは歯だけの病気ではなく、歯を支えている骨までも侵してしまう病気なのです。

歯周病は、治療をすることで回復できる歯肉炎と、治療をしても元の正常な状態には戻せない歯周炎とに分けられます。歯肉炎の時は歯肉が赤く腫れますが、特に症状が現れないため、なかなか発見できません。歯周炎になるとそれが酷くなり、さらに強い口臭や歯肉と歯の境目辺りからの出血、そして痛みによる食べ方の変化や食欲の低下により、飼い主にも気付きやすくなります。もっと酷くなると、歯が抜けてしまうこともあります。逆に、酷くなった場合は治療のために抜歯しなければならない場合もあります。

また、歯周病を始めとした歯の疾患に罹っている猫は、それが重度であればある程、早期に慢性腎臓病に罹ってしまうということも分かっています。したがって、歯だけの問題ではなく、猫にとって歯のケアはとても大切なものだと言えるでしょう。

どうして歯周病になるの?

歯周病は歯石と密接な関係にある事が分かっています。歯の表面に付いた食べカスが歯垢となり、それを放置していると歯石となります。歯周病は、この歯垢・歯石や歯肉の隙間に溜まった細菌が原因で発症します。したがって、歯周病を予防するためには、歯に歯垢や歯石を付けない事が必要で、そのためのケアが歯磨きなのです。

野猫に歯磨きが必要ない理由

猫

では、なぜ野猫は歯磨きをしなくても大丈夫なのでしょうか。それは、野猫と飼い猫の食餌内容の差だと言われています。野猫はネズミや野鳥などを狩り、それを引きちぎって食べているため、自然に歯の表面を磨いているのだそうです。しかし、飼い猫のほとんどはキャットフードを食べているため、歯の表面に食べカスが残りやすいのです。もっとも、野猫と飼い猫の寿命には大きな差がありますから、決して野猫も歯磨きをしなくても大丈夫ということではないのかもしれませんね。なお、ドライフードよりも缶詰等のウェットタイプのフードの方が、より食べカスが残りやすいようです。

理想的な歯磨き

猫の歯周病を予防するための最善の方法が歯磨きです。歯ブラシを使って、猫の歯を1本1本丁寧に磨いていくのは、人間と同じです。歯ブラシは、動物病院やペットショップで猫用のものを買う事ができますが、人間用の歯ブラシでも代用できます。その場合は、小児用でヘッドが小さく、ブラシが柔らかいものを選びましょう。

歯のみがき方

歯ブラシは歯に対して約45度の角度で、特に歯と歯肉の間の隙間に溜まっている食べカスを掻き出すように磨きます。ただし、歯肉を直接ブラシで磨いてしまうと歯肉が傷つき出血してしまうこともありますので、歯肉を直接磨かないように気をつけましょう。そして、歯磨きが終わった後は、必ず飼い主さんは手を洗ってください。猫の口の中は細菌でいっぱいです。愛猫を健康に保つためには、飼い主さんも健康でいなければなりません。

歯磨きの頻度

食べカスが歯石になってしまってからでは、歯磨きで取り除くことができません。そのため、歯垢のうちに磨く必要があります。歯垢が歯石になるまでには、2〜3日かかります。歯磨きは、1日1回が理想ですが、どうしても毎日が難しいようであれば、最低でも3日に1回は行うようにしましょう。なお、歯石になってしまった場合は、動物病院で歯石を取り除いてもらうしか方法はありません。その場合、全身麻酔をしての処置となります。全身麻酔にはリスクが伴います。高齢の猫であれば、なおさらです。そのことを考えても、日々の歯磨きがとても大切な事が分かると思います。

歯磨きトレーニング

子猫

我が家のように、9歳になってから歯磨きを始めようとすると、トレーニングが大変です。当然ですが、愛猫は歯ブラシを口に入れることにかなりの抵抗を示します。できれば、幼少期から徐々に歯磨きのトレーニングを始めるべきです。ただし、ゆっくりと少しずつトレーニングをすれば、大人の猫でも歯磨きを受け容れてくれますので、愛猫の機嫌をよく観察しながら、根気よくトレーニングをしてみましょう。愛猫の歯磨きトレーニングについては、色々なところに情報がありますし、動物病院でも歯磨き教室を開いてくれるところも多いので、利用してみましょう。参考までに、我が家でのトレーニング手順をご紹介します。

1. 直接歯を触れるようにする

まずは、愛猫を抱いて膝の上に乗せ、直接歯を素手で触らせてもらえるようにしました。トレーニングだと構えるのではなく、愛猫と一緒に遊んでいる一環でたまたま歯を触ったような雰囲気にします。元々私が猫を触りまくるタイプの飼い主だったので、この段階は、思ったよりも簡単にクリアできました。

2. 歯ブラシで口の周りをマッサージする

上記の遊びの一環として、愛猫の口の周りを歯ブラシでブラッシングしました。そのことで、愛猫はすぐに歯ブラシを気持ち良いものと認識してくれたようです。

3. 最初は一番磨きやすい犬歯を磨けるようにする

1.と2.は、ほぼ同時に始めましたが、3.は様子をみながら慎重に行いました。口の周りをブラッシングしていたら、偶然歯ブラシが犬歯を触ってしまったようなフリをしながら、ゆっくりと犬歯を狙い打ちで磨けるようにしていきました。(別に犬歯からではなくても、一番磨きやすい歯を選べば良いです)

4. だんだん奥歯まで磨けるようにする

3.のトレーニングの範囲を徐々に広げ、左右の奥歯まで磨けるようにしていきます。特に上顎の左右にある奥歯3本(臼歯)は歯垢が付きやすく、唾液腺の開口部に近いので歯石が溜まりやすい場所です。歯磨きはこの臼歯を重点に行なってください。なお、本当は歯の裏側までみがきたかったのですが、さすがにそこまではやらせてくれませんでしたので、表側だけをみがくようにしました。結局、我が家の愛猫は歯磨きをさせてくれるようになりましたが、肝心な上顎の臼歯は嫌がってなかなか上手くは磨けませんでした。それでも数年は歯ブラシで歯を磨いていましたが、そのうちに歯肉からの出血も見られるようになり、痛がるので、歯ブラシではなく市販の歯磨きシートを使って歯の表面を拭く方法に変えました。

まとめ

猫

冒頭にも書きましたが、歯磨きはできるけれども月に1回くらいで猫の気が向いた時だけね、というのでは意味がありません。食べカスが歯垢になる前から除去してしまうのが一番ですから、本当は毎日できればそれが一番です。しかし、「毎日歯磨きしなければいけない!」という思いが飼い主さんのプレッシャーになり、毎日決めた時間になると憂鬱になるようでは、飼い主さんにとっても愛猫にとっても良いことではありません。毎日が無理なら、2〜3日に1回でも良い、歯ブラシが難しいなら市販の歯磨きシートでも良い、歯磨きシートも難しいなら市販の歯磨き効果のあるフードを使ってみよう。愛猫にも飼い主さんにもあった方法を探してみましょう。大切なのは、長く続けられることなのですから。

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