猫と獣医

猫にも定期的な健康診断(キャットドック)を受けさせよう

人と違い、猫には健康保険もなく、医療費は馬鹿になりません。しかし、家族として一緒に暮らしていく以上、きちんと健康管理をし、元気に長生きして欲しいと思うのが飼い主さんの想いでしょう。そのためにも、その時々の愛猫に適した健康診断を、適した頻度で受診させましょう。

健康診断の目的

猫と医者

猫も、人と同様に健康な生活を続けていくためには健康診断を欠かすことができません。猫は、自分で自分の体調がおかしいと気づいても、飼い主さんにそれを伝える事ができませんので、それを踏まえた上で、健康診断の目的を考えてみましょう。明確な目的を意識する事で、どのような内容の診断を、どの程度の頻度で受ければ良いのかについて、飼い主さんなりに判断するための一助になるでしょう。

病気の早期発見

人は、自分の言葉や行動で自分の体調が悪い事を人に伝えることができます。中には、それがあまりにも大袈裟すぎて信用してもらえない人もいるようですが、猫にはそういうことはありません。ほとんどの猫が、体調が悪い事を隠そうとします。痛くても、苦しくても、静かにじっとして耐えています。そんな猫だからこそ、悪いところなど何もないように見えていても、きちんと健診を受ける事で病気を早く発見してあげなければ、手遅れになりかねません。なぜなら、飼い主さんが猫の具合が悪いと気がつくような症状を見せる時には、かなり病気が進行した状態になっていることがほとんどだからです。獣医学もかなりの進歩を遂げていますが、やはり人の医学と比べればまだまだと言えるでしょう。したがって、猫の病気も早期発見をすることで早期に治療を始めることがとても大切なのです。

愛猫の健康時の数値を把握しておく

猫も人と同じで、個性があります。個性とは少し意味合いが異なりますが、健康のバロメーターとなる基礎的な数値等も、個体により千差万別です。したがって、猫の体調が悪くなってから病院に駆け込んで検査をしても、それがその猫の健康な状態からどの程度乖離しているのかを正しく把握することができません。我が家の愛猫は、9歳になって初めてX線検査をしました。そして、「食道裂孔ヘルニアがある」と言われました。しかし、特に食道裂孔ヘルニアに起因するような症状が出ている訳ではありませんでした。「もしかすると、これは生まれつきかもしれません。今、特にこれが原因で苦しんでいる訳ではないので、しばらく様子をみましょう」という事になりました。

その時、ずっとこの病院に通っていたのだから、なぜもっと早くからきちんとした健康診断を受けておかなかったのだろうと反省しました。血液検査等の数値も含め、健康な状態の時の平常時の様子を主治医にきちんと把握してもらっておくことで、いざ病気に罹ったという時の判断も迅速に行ってもらえると思ったのです。また、病院では検査結果の数値を印刷して飼い主さんに渡してくれるところが多いと思いますので、飼い主さん側でも、前回の検査結果と比較し、自分で納得することができるようになります。

生活環境や生活習慣に対するアドバイスをもらう

人の育児に関する情報は、書籍やネット上にたくさん溢れています。猫の飼育に関しても、同じように書籍やネット上に情報が溢れています。しかし、人の場合は実際に子供を育てている他の母親や赤ちゃんと直接接する場があるのに比べて、猫の場合は直接他の猫や飼い主さんと親しく接する場はあまりありません。つまり、自分の愛猫に対する第三者の目から見た評価というものを受ける機会がとても少ないのです。

定期的に動物病院で健康診断を受けることで、検査結果という数値だけではなく、第三者の目から見た愛猫の評価を受けることができます。それは、体型のこと(肥満とかやせすぎとか)や性格のこと、躾のこと等多岐に渡っています。そして、アドバイスを受けることで、飼い主さんでは気づかなかった生活習慣や生活環境に関わる問題点に気づき、改善するチャンスをもらえるのです。

また、どうしても上手に歯磨きができないといったようなことも、相談すれば獣医師や看護士からレクチャーを受けることもできます。単なる健康診断の場だけと考えずに、愛猫の飼育に関する様々な心配事を相談する場にもなると考えてはいかがでしょうか。

健康診断の項目について

猫 検診

この検査だけをしておけば安心というものは、残念ながらありません。それは、人の健康診断(人間ドック)でも同じです。最低半日くらいをかけて、身長、体重、視力、聴力、血液検査、X線検査、尿検査、検便、超音波などの検査項目を一つ一つクリアしていくと思います。猫の場合も、同じだと考えるべきでしょう。血液検査だけをしておけば安心とか、超音波検査までは必要ないなどという考え方は現実的ではありません。

もちろん、検査にはそれなりの費用がかかりますので、いたずらに沢山の項目を頻繁に検査する必要はないと思いますが、それぞれの年齢ステージや愛猫の持病等も考慮した上で、必要な項目を必要な頻度で検査しておくべきだと考えるべきでしょう。具体的には、かかりつけの動物病院で、主治医の獣医師に相談することをお勧めします。参考として、一般的な猫の健康診断の検査の種類を挙げておきます。

① 血液学検査赤血球、白血球、血小板の数、形態の確認。貧血や感染の有無を調べられます。
② 血液化学検査肝臓や腎臓などの各臓器の働き具合の確認。肝臓病、腎臓病、糖尿病などの診断に有効です。
③ X線検査臓器の大きさや位置、数の確認。心拡大、胸水、腎結石、膀胱結石などの確認に有効です。
④ 尿検査尿の比重(濃さ)、血尿、細菌尿などの確認。泌尿器系の病気や糖尿病の診断に有効です。
⑤ 超音波検査臓器の内部構造や大きさの確認。心臓の弁障害、心筋症、リンパ節の腫大の診断などに有効です。
⑥ 便検査 便の状態の確認。内部寄生虫や便の中の細菌バランス、消化状態などの診断などに有効です。

健康診断を行う頻度

猫と医者

一般的に、7歳までは1回/年、8歳以上は1回/半年が理想的な猫の健康診断の頻度だと言われています。猫は、最初の1年で人間の15歳相当に、次の1年で24歳相当にまで成長し、その後は1年で人間の4歳分ずつ歳を重ねていくと考えられています。したがって、1回/半年といっても、人間年齢で考えると、1回/2年の頻度ということになります。そう考えれば、「7歳までは1回/年、8歳以上は1回/半年」というのも、多過ぎとも言えないと思いませんか?また、動物病院によっては、年会費を支払えば1回/年の健康診断を割引価格で受診できる等の仕組みを作っているところもあります。手遅れな状態になってから高度な医療を受けてお金を使うよりも、定期健診にお金を使う方が、愛猫にとっても人にとっても幸せだと言えるのではないでしょうか。

神経質になり過ぎない

獣医師は、リスクという面も含めて、大きな事はもちろん小さな事についても細かく飼い主さんに伝えてくれます。その中には、本当に重要な事もあれば、今はまだ注意しておく程度で構わない事も含まれています。それらの全てを同じ重さで受け止めてしまうと、飼い主さんの心労は増すばかりですし、愛猫もすぐには必要のない追加検査を受けさせられたりサプリメントを飲まされたりという事になってしまうかもしれません。

定期的な健康診断は必要な事ですが、小さな事にまで神経質になってしまう事は良くないと思います。決して「○○の心配があるのなら、すぐにそれに効く薬を処方してください」などと焦ってしまわないようにしましょう。飼い主さんは、自分が十分に納得できるまで獣医師と話しをするべきです。そして、獣医師の本音を探りましょう。そうすれば、「すぐに治療が必要だというわけではないけれども、食べさせる物には気をつけなければいけないのだな」とか「次回の健診の時には○○の検査も追加してもらった方が良いな」等、落ち着いて考えることができるはずです。

病院をうまく利用しよう

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最近の動物病院は、人の病院以上にインフォームド・コンセントに気を遣ってくれています。しかし、それでも獣医師の話しが難しくてよく分からないと感じる方も多いかもしれません。獣医師や看護士には、遠慮せずに自分が納得いくまで話しをしましょう。そして、分からない事、心配な事はどんどん質問して教えてもらいましょう。飼い主さんにうまく伝えられるように、獣医師も絵を描いたり模型を使ったりして、十分に説明してくれます。動物病院は、愛猫はストレスを受けるし、飼い主さんは多額の医療費を支払う場所です。だからこそ、その分うまく利用して、支払った医療費以上のメリットを受けるくらいのつもりで良いのではないでしょうか。

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