猫観察

猫の健康管理チェックポイント5つ

愛猫と一緒に暮らしている飼い主さんは、愛猫に元気で長生きして欲しいと願っていることでしょう。そのためには、信頼できるかかりつけの動物病院をみつけることも必要ですが、何よりも飼い主さんが日々愛猫の健康管理をすることが大切です。日頃、どのような観点で愛猫の健康管理をすれば良いのかについて考えていきましょう。

愛猫の健康管理は飼い主さんだからこそできること

猫人間

猫は、とても警戒心が強く、また保守的な動物です。慣れない場所や人がいると、とても緊張してしまい、強いストレスを感じてしまいます。したがって、愛猫の健康管理は、愛猫が心を許している飼い主さん自身で行うことが、最善の方法だといえるでしょう。また、猫は具合が悪いことを隠そうとする動物です。野生の場合、弱っていることは攻撃の対象となることに他ならないからです。そのため、愛猫は具合が悪いことを飼い主さんにも隠そうとします。したがって、飼い主さんは健康な時の愛猫の様子を把握しておき、愛猫の様子の僅かな変化にも気付けるようにしておく必要があります。

基本は毎日の観察と記録

猫観察

具合が悪いことを隠そうとしている愛猫の変化に気付いてあげられるためには、普段の愛猫の様子をきちんと把握していなければなりません。毎日見ていることでも、意識しているかいないかでは、得られる情報量に大きな差が出ます。愛猫の毎日の様子は、必ず記録するようにしましょう。記録することで、観察すべきポイントを意識することができますし、また記録しておけば、後からその情報を見直すことで、今まで気がつかなかった愛猫の変化に気づくこともできるかもしれません。そのため、数値化できる情報はなるべく数値で把握するようにしましょう。また、記録した数値は表やグラフにし、付随する数値以外の情報と合わせて変動の流れを見ることで、愛猫の状況をより細かく把握することができます。では、普段観察し、記録すべき項目とそのポイントについてみていきましょう。

食事の内容と量

まず、数値でしっかりと把握すべき項目が食事の量です。複数のフードを与えているときは、フード毎に1回の採食量を計り、最終的には1日の採食量を把握しましょう。

採食量=給餌量―残量(g)

おやつをあげた日は、おやつについても記録しておきましょう。あまり正確に量を計れないものもあるかもしれません。その場合は、「マグロの刺身一切れ半」、とか「○ュール1/2本」などのように、大体の様子が分かる程度でも良いです。

飲水量

これも、きちんと数値で把握しておくべき項目です。猫は慢性腎不全になりやすいので、日頃お水をどのくらい飲んでいるのか、おしっこをどのくらい出しているのかという情報は、健康管理に欠かせない情報です。水を取り替える都度計測し、最終的には1日の飲水量を把握しましょう。

飲水量=給水量―残量(cc)or(g)

排尿量、色

飲水量の説明でも書いた通り、猫にとっては排尿に関する状況把握はとても大切なことです。1日の排尿量と色については、必ずチェックするようにしょましょう。システムトイレのようにペットシーツにおしっこを染み込ませるタイプのトイレの場合は、トイレにペットシーツをセットする前にペットシーツの重さを測っておきましょう。その上で、下記の要領で排尿量を計量します。

排尿量=排尿後のペットシーツの重さー排尿前のペットシーツの重さ(g)

おしっこで固まるタイプの砂を使っている場合は、固まった砂の塊の重量を図ることで、排尿量の増減についてを把握できるでしょう。また、おしっこをしたいのに出せず、何度もトイレに出たり入ったりしていないかのチェックや、血尿が出ていないかのチェックも大切です。

排便量、形状

便の計量と形状も記録しておきましょう。排便量も、重さを計る方が正確ですが、抵抗感がある場合は粒数とか便の長さ等を記録しておく方法でも、排便量の増減を把握できます。形状については、下痢、軟便、カチカチに硬い等の形状の他、便の周りに粘膜が付着しているとか、赤い物が混じっている、いつもと色が違う等、気付いた事があれば一緒に記録しておきましょう。なお、トイレでウンチをしようと力むけれども排便できない事をしぶりと言います。その場合も記録しておきましょう。また、高齢になると排便をしようと力んだ挙句嘔吐してしまう猫もいます。嘔吐と排便の関連の有無も確認しておくと良いでしょう。

日々のケアで気付いたこと

その他、日々のケアの中で気付いた事を記録しておきましょう。意識的に確認すべき項目は下記を参考にしてください。

1,(被毛)毛並に艶があるか、禿げているような箇所はないか
2,(皮膚)皮膚にかさぶたや腫れ、色が変わっている所、フケや傷などがないか、ノミやダニがいないか、あごの下に黒い小さな粒のようなものが付いていないか
3,(体温)体温が高い、または低くないか。体温計で計るのが好ましいですが、できない場合は内腿の辺りに手を入れ、いつもの体温を覚えておけば、それと比較する事ができます
4,(呼吸)呼吸の速度が速く浅くなっていないか、口をあけて呼吸をしていないか、ゼーゼー言っていないか
5,(口腔内)口の中に異常はないか。歯茎の色が白い場合は貧血かもしれません。また、歯茎が腫れていたり出血したりしていないか、よだれを垂らしていないか、食べ方がいつもと違っていないか
6,(目)目ヤニが溜まっていたり、瞬膜(白い幕)が出たままになっていないか、目を痒がっていないか、左右の瞳の大きさが違っていないか、目の動きがおかしくないか、歩くときに障害物にぶつかる等の目が見えていない様子はないか
7,(耳)耳の中が黒く汚れていないか、または綺麗にしたのにすぐに黒く汚れてしまっていないか。また、耳の先の内側の色が白くなっている場合も、貧血かもしれません
8,(お尻)お尻の周りが汚れていたり腫れていたりしないか
9,(痛み)動かずにじっと静かにしている場合は、痛みを感じているかもしれません。他にも、毛づくろいをしなくなる、食欲がない、攻撃的になる、人や他の動物とのふれあいを避けるようになる、特定の部位(痛みのある部位)を触ると唸って嫌がる等が、猫の痛みのサインです
10,(嘔吐)嘔吐していないか。している場合、吐瀉物の内容は何か
11,(行動)歩き方や行動、様子などにいつもと違うところはないか
12,(その他)他にも気付いた事があればなんでも記録しておきましょう。また、気圧の関係で体調が悪化する場合もありますので、その日のお天気の他に、台風がどこに接近しているかといった情報も役に立つ事があります

毎月の健康管理

猫木に登っている

できれば、月に1回程度の頻度で動物病院に行き、獣医師の健康チェックを受けましょう。体重や体温の計測も病院でやってもらえますし、病院によっては肛門腺絞りなど、自宅では難しいケアもやってもらえます。なお、体重は、自宅の体重計で計ることもできます。病院で計るよりも精度は低いですが、変動の把握には十分です。

愛猫の体重=飼い主さんが愛猫を抱いた状態での重量―飼い主さんの体重(kg)

また、体温も、人間の幼児用の耳で計測するタイプの体温計を利用しても計測できます。病院での計測よりも精度は低いですが、変動の把握には十分でしょう。子猫の場合は、月1回の健康チェックの時に、獣医師の協力を得て、病院が怖くない場所だという事を覚えさせる機会にすると良いでしょう。

年(半年)に1回の健康診断(キャットドック)

猫が座っている

1年に1回は、動物病院で本格的な健康診断(キャットドック)を受けましょう。高齢になったら、半年に1度の健康診断が理想的です。費用も高いので、年(半年)に1回の健康診断はやり過ぎだと感じる飼い主さんもいるかもしれません。しかし、年に1回は、人間に換算すると4年に1回、半年に1回は2年に1回ということになります。それを考えると、決してやり過ぎということにはならないと思います

ワクチンの接種

猫がくつろいでる

健康な愛猫を病気にさせないために、ワクチンは接種しましょう。たとえ完全室内飼いの場合でも、人間や人間の着衣、靴等が媒介となって愛猫に伝染病を感染させてしまう事があるのです。ワクチンには、猫白血病のみ、3種混合、4種混合、5種混合、7種混合があります。最も一般的なのは3種混合ワクチンで、猫に最低限必要な「猫ウィルス性鼻気管炎」「猫カリシウィルス感染症」「猫汎白血球減少症」の予防ができます。子猫の場合は、まず生後2〜3ヶ月頃に最初の接種をし、約1ヶ月後に2回目の接種を行います。その後は、1年に1回の接種が必要と言われていますが、最近は2〜3年に1回の方が良いという説もあります。獣医学も日進月歩ですので、ワクチン接種についても獣医師と相談をしながら決めるのが良いでしょう。

飼育環境の整備

猫が上を向いている

健康管理の中には、愛猫に適した飼育環境を整備することも含まれます。愛猫が健やかに過ごすことのできる飼育環境について考えてみましょう。

完全室内飼育

自由に家と外を出入りできる環境は、一見すると愛猫に自由を与えていて良いように感じる飼い主さんもいるかもしれません。しかし、実際には、完全室内飼育の方が、猫には安全でストレスフルな飼育環境なのです。他の猫や動物から感染症や寄生虫をうつされるリスクも低くなりますし、交通事故のリスクもありません。完全室内飼育だと行動範囲が狭くなってかわいそうだと思う飼い主さんもいるでしょうが、猫は行動範囲の広さだけではなく、上下への移動ができることで快適に過ごす事ができるようです。家具やキャットタワーなどをうまく利用して、猫が自由に上下に移動できる環境を確保した上で完全室内飼育をする事が、愛猫にとっても快適な環境になるようです。

良質なフード

愛猫の健康を維持するためにも、良質なフードを与えるようにしましょう。猫の栄養学をしっかりと学び、時間をかけて手作り食を与えるのは、多忙な現代人には難しいでしょう。市販のフードをうまく活用するのが良いと思いますが、その際にしっかりと吟味し、安全で良質なフードを選びましょう。ブリーダー、ペットショップ、動物病院に相談したり、猫と一緒に暮らしている人達の評判等を調べたりして、選んであげましょう。

ストレスフルな環境

猫にとっての快適な室温は20〜28℃、湿度は50〜60%程度です。エアコン等で最適な室温と湿度を保つようにしてあげましょう。また、愛猫が安心して避難できる場所を作ってあげましょう。知らない来客の際や体調が悪い時等に愛猫が安心して静かに過ごせる場所が必要です。同様に、愛猫が静かに気持ちよく眠れる寝床も作ってあげましょう。また、飼い主さんとの十分な遊び時間も作ってあげてください。

飼い猫の場合、大人になっても遊びはとても重要なストレス発散の手段です。無駄なエネルギーも発散できますので、愛猫と一緒に1日15分程度は一緒に遊ぶ時間を作ってあげましょう。その他、猫が自由に上下移動できる環境の確保や、多頭飼いの場合は部屋数に見合った適切な飼育頭数を維持すること、猫の数+1個のトイレを用意すること等が必要です。

日々のケアと記録を活用して動物病院と上手につきあおう

猫が手を舐めている

愛猫の日々の観察とその記録は、愛猫の調子が悪くなり、愛猫を動物病院で診てもらう時にもとても役に立ちます。いつ頃からどのような症状が出たのか、食欲がどのように変化したのか等、獣医師に整理しながらきちんと説明する事ができるのです。表やグラフを獣医師や看護師に見せながら愛猫の様子を説明すれば、より正しい判断をしてもらうことにもつながるでしょう。

継続する事が大切

猫がくつろいでいる

日々、愛猫の様子を観察し、記録するのは、一見大変そうに感じるかもしれません。しかし、続けていると習慣化し、あまり負担に感じなくなるものです。あまり神経質になって精度を求めようとせず、大体のことを把握し、万が一の時に早く気づいてあげられる事が目的だと考えれば、飼い主さんの心の負担も軽くなるのではないでしょうか。この記事を参考に、まずは飼い主さんの生活の中で無理なくできるところから始めてみてください。そして、愛猫に1日でも長く、健康に過ごしてもらいましょう。

関連記事一覧