猫 爪

野良猫は爪切りなんて必要ないのに、なぜうちの猫には必要なの?

飼い猫と一緒に暮らしていると、ただ楽しいだけではなく、色々と飼い主さんがケアしなければならないことも多いです。野良猫には必要ないのに、なぜ飼い猫にはこんなケアが必要なのと思われるものの一つが爪切りでしょう。今回は、爪切りの必要性や方法、道具などについて説明します。

今を生きる猫たちには、今にふさわしいケアが必要

猫

現在の日本では、犬も猫も、室内で飼育されることが普通になってきています。犬のように散歩を必要としない猫の場合、完全室内飼いという形態が普通になってきました。このような飼育環境の変化に合わせて、今を生きる猫たちには今の飼育環境に合ったケアが必要になってきました。爪のケアも、その一つです。野良猫や、自由に外と家の中を行き来していた猫たちは、木登りや狩をするため、鋭い爪が必要でした。しかし、完全室内飼いで外を自由に歩き回る必要のなくなった猫たちには、鋭い爪は必要ではなくなりました。そのため、鋭い爪を持っていることは、下記のようなマイナス面のみが強調される結果となってしまったのです。

<猫自身に対するマイナス面>
・カーペットやカーテンなどに爪が引っ掛かり、折れたり割れたりする
・巻き爪になった場合、爪先が肉球を傷つける

肉球は繊細で毛細血管も豊富なため、巻き爪で傷ついてしまうと、痛みや出血で猫自身が辛い思いをすることになります。また、爪が折れた場合、爪が死んでしまうこともありますので、注意が必要です。

<飼い主さんに対するマイナス面>
・カーペット、カーテン、ソファ、壁、木製家具などが傷つけられる
・飼い主にひっかき傷をつけたり、そこから細菌感染を起こさせたりする

猫の引っかき傷から感染する病気に猫ひっかき病やパスツレラ症があります。猫ひっかき病の原因となるパルトネラ菌やパスツレラ症の原因となるパスツレラ菌は、どんな猫でも必ず持っている菌で、猫の咬み傷やひっかき傷から感染します。猫ひっかき病もパスツレラ症も、重症化すると意識障害を起こしたり重篤な肺炎を起こしたりと、ともに怖い病気です。予防法の一つとして、猫の爪を常に短く保っておくことが有効です。このように、外で自由に過ごすことのなくなった現在の猫には、現在の飼育環境にふさわしい爪のケアをすることが大切なのです。

猫の爪の構造

猫 爪

では、まずケアの対象となる爪の構造について整理しておきましょう。

爪の出し入れ
ご存知のように、猫の爪は、普段は指の中に隠れていて、外には出ていません。爪の下に腱がついており、この腱が緩んでいると、爪は靭帯の張力で指の中に引っ張られた状態になるからです。しかし、筋肉がこの腱を上に引っ張ると、それに連動して爪が外に飛び出してくる構造になっています。猫の指の小さい肉球の部分と、その反対側にあたる指の上側の部分を飼い主さんの指で挟み、肉球側を軽く押してやると、腱が上に引っ張られた時と同じ状態になり、爪を外側に出すことができます。
爪の中にも血管や神経が通っている
猫の爪を横からよく観察すると、先頭の鋭く尖っている部分は透明で、指の根元の方は、内側に三角形のピンク色の部分があることが分かります。このピンク色の部分は、クイック(quick)と呼ばれていて、神経や血管が通っています。
爪の新旧交替
猫の爪は、人の爪とは異なり、一枚の爪が延々と伸び続けている訳ではありません。猫の爪は二層になっており、外側の爪が古くなると、内側にできた新しい爪と交替するのです。外側の爪は、木登りや地面などを歩いて爪の先が摩耗により鈍くなっていますが、新しい爪の先はとても鋭く尖っています。このように、猫の爪は新旧交替を何度も繰り返し、新しい鋭い爪を維持する仕掛けになっているのです。

猫の爪とぎと爪切り

猫 爪

ところで、猫は自ら爪とぎという行為を行います。飼い主に対するマイナス面で紹介した、ソファや木製家具などが傷つけられるというのは、鋭い爪のまま猫が爪とぎをした結果の産物です。「爪とぎ」というネーミングから、猫が爪を研いで鋭くする行為のように思われている方もいるようですが、そうではありません。古くなった外側の爪を剥がし、内側にできた新しい爪を出すための行為が爪とぎなのです。したがって、猫に爪とぎをやめさせることはできません。たとえこまめに爪切りをしたとしても、爪とぎをさせなければ、新しい爪に生え変わることができないためです。愛猫の好みにあった爪とぎ器をいくつか用意し、いつでも愛猫が自ら爪のケアをできるように環境を整えてあげましょう。それに対して、「爪切り」はその名の通り、伸びた爪を短く切ることです。いくら猫が自ら爪をとぐからといっても、爪切りを怠ると、爪がどんどん伸びてしまい、前述のマイナス面が出てきてしまいます。そして、爪切りは飼い主さんがケアしてあげなければなりません。爪とぎと爪切りを混同せず、適切なタイミングで爪切りを行なってあげましょう。高齢になると、爪とぎをしなくなる猫が多いようです。しかし、爪とぎをせずに古い爪のままでいると、爪は太くなり、かつ巻き爪になっていきます。そのまま爪が伸びていくと肉球を傷つけてしまいますし、巻き爪のため、爪そのものも切りづらくなっていきます。この点を考慮し、特に高齢猫に対しては、きちんと爪切りをしてあげましょう。

爪切りの方法と道具

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では、実際に爪切りを行う時の方法と、その際に使用する道具について説明します。

爪切りに必要な道具

爪切りに必要な道具は、基本的には爪切りだけです。猫の爪と人の爪は形状が異なりますので、市販されている犬猫用の爪切りを使用してください。爪切りには、柄の部分がハサミのような形状をしているハサミタイプのものと、ペンチのような形状をしているギロチンタイプのものがあり、この2タイプが代表的です。他に、電動爪ヤスリなどもありますが、音や振動を嫌う猫は多いので、ハサミタイプかギロチンタイプを選ぶのが良いと思います。ギロチンタイプは、爪を挟みやすく、切るときにパチっという音がしないので音が苦手な猫にも良いなどと、比較的好評です。また、ハサミタイプは飼い主さんも使い慣れた形状ですし、爪の柔らかい子猫に向いていると言えます。いずれにしろ、爪切りを嫌う猫がほとんどですから、爪切りは短時間で手際よく行わなければなりません。そのため、切れ味の良い爪切りを使用するように心掛け、古くて切れ味の落ちてきたものは、切れ味の良いものと交換するようにしましょう。また、おとなしく爪切りをさせてくれずに暴れてしまうような場合には、タオルで体を包む、タオルで顔を隠す、市販の爪切り用保定袋を利用する等の道具も利用してみましょう。なお、猫の顔を隠すための猫用マスクも市販されていますが、猫が嫌がってうまくいかないことが多いようです。

爪切りの方法

まず、猫が爪切りと何か特定の行動を結びつけることがないよう、爪切りをするタイミングを、食事の後、朝起きた直後などのように固定しない方が良いです。猫がのんびりとくつろいでいる時に、優しく抱き上げて爪切りを開始すると良いでしょう。二人で爪切りをする場合は、一人が猫の体を優しく保定します。保定の姿勢に「これでなくてはダメ」というものはありませんが、筆者は、猫の体を横に倒した形で寝かせ、両手で前後の足を優しく抑えるのがおすすめです。この時に、あまり力を入れすぎないように注意してください。筆者は一人で爪切りを行なっていますが、やはり猫の体を横に倒した形で机の上に寝かせ、お互いの体を密着させて落ち着かせながら切っています。二人体制の場合は、もう一人が爪切りを持ち、猫の足側に立って爪を切っていきます。爪は、前足に5本ずつ、後ろ足に4本ずつありますので、それを順番に素早く切っていきます。まず、指の肉球の部分を軽く押して、爪を飛び出させます。切る場所は、クイックから外側に2mmほど離れた透明な部分です。クイックの部分を切ってしまうと、猫は痛がりますし出血もしますので、気をつけてください。切る場所が決まったら、1回でパチンと切ります。

この場所を切っても、猫は痛みを感じませんので、思い切りパチンとやってください。これを、18本分繰り返します。最初のうちは、猫が嫌がって長時間作業させてもらえないと思います。一度に全ての爪を切ってしまう必要はありませんので、今日は右の前足、明日は左の前足というように、分割しても良いでしょう。ただし、「猫が嫌がったのでやめる」ということを繰り返すと、猫は嫌がればやめてもらえると学習してしまい、爪切りのたびに抵抗するようになります。分割して切る場合であっても、やめるタイミングは飼い主さんが決めるようにすると良いでしょう。万が一出血してしまった場合は、ガーゼやティッシュなどで、5分程度爪を強く抑えてください。それで止血できます。どうしても血が止まらない場合は、動物病院で止血してもらってください。無事に爪切りが終わったら、必ず愛猫を褒めて可愛がってあげましょう。おやつをあげるのも良いです。とにかく、爪切りをしたら良いことが待っていると思わせてください。もし、どうしても爪切りをさせてもらえない場合は、動物病院で切ってもらうこともできますから安心してください。

適切なタイミングで適切なケアをすることが大切

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爪の伸びる早さは猫にもよりますので、必ずこの頻度でということは言えません。爪の先が鋭く尖っていたら爪切りのタイミングです。子猫は週に1回、成猫は2週に1回、高齢猫は3週に1回を目安とし、爪の状態を確認すると良いでしょう。外での生活がほとんどなくなった現代の猫にとって、爪切りは必要なケアであり、かつ人にしてもらわなければならないことです。愛猫に、いつまでも健康で幸せに長生きしてもらうためにも、飼い主さんが健康で幸せに暮らすためにも、しっかりと爪の適切なケアを続けてあげましょう。

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