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猫が大好き『またたび』の正しい効果的な与え方と注意する3つのポイント

“またたび”は、昔から猫の好物として有名です。また人にも効能があり、漢方薬として古くから利用されてきました。しかし、“またたび”を嗅いだりなめたりした猫の反応は、まるで泥酔状態で、中には怖くなるほど強い反応を示す猫もいます。“またたび”の安全性や与え方について解説します。

結局、“またたび”って何なの?

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猫と一緒に暮らしていない人も、猫に“またたび”を与えると、まるで猫が酔ったようになるということをご存知の方が多いのではないでしょうか。「猫にまたたび」という諺は、「とても好きなもののたとえ。また、それを与えると著しい効果があることのたとえ」として昔からよく使われています。では、“またたび”とは何なのでしょうか。一般的に市販されている“またたび”の形状は、粉の場合が多いようですが、液体(スプレータイプ)のものもあります。しかし、枝そのままの形状で売られているものもありますので、“またたび”が植物(木)であることは、ご存知だと思います。“またたび”は、マタタビ科マタタビ属の植物で、北海道、本州、四国、九州の山地に自生する、つる性の落葉木です。 “またたび”は人にも効能があり、平安時代の書物にも鎮痛・滋養強壮の妙薬として利用されてきたことが書かれています。茎・葉・花・実などが利用されています。特に実は、正常な状態では効能がなく、虫癭果(ちゅうえいか)といって、虫が卵を産みつけたために変形しボコボコな虫こぶのできた状態の実を熱湯で処理し、乾燥したものが人にも猫にもよく利用されています。

漢方薬では、これを「木天蓼(もくてんりょう)」と言い、効用として疲労回復、滋養強壮、冷え性、腰痛、胃腸が虚弱な人の健胃薬、がん・かぜ予防、精神安定などとされています。“またたび”の成分の中には、β-フェニルエチルアルコール、アクチニジン、マタタビラクトンが含まれており、これらが猫の中枢神経などに働きかけて興奮状態や垂涎などの反応を起こさせます。猫によって差はありますが、その興奮した様子は、まるでお酒に酔っている様です。植物だということもあり、違法薬物のような常習性を心配される方もおられるかもしれませんが、常習性はありません。我々の身近な物に例えるならば、コーヒーやお酒のような嗜好品もしくはスパイスのような物だと考えれば良いでしょう。

“またたび”を与えると猫はどうなるの?

猫 またたび

“またたび”が、全ての猫に同じような反応を起こさせるわけではありません。個体差があります。しかし、8割程度の猫は、“またたび”に対して喜んでいる反応を示すと言われています。ある実験では、約2割の猫が泥酔状態になり、約6割の猫が適度に嬉しそうになったという話もあります。筆者と一緒に暮らしていた猫たちも、猫によりその反応はまちまちでした。最も強い反応を示した猫は去勢雄猫で、大量の涎の中で大きな声で鳴きながら体をくねらせて恍惚としていました。ちょっと怖くなりましたが、10〜15分もすると、いつもの状態に戻り、けろりとしていました。一番反応が薄かったのは避妊雌猫でしたが、それでも嬉しそうに何度も繰り返し“またたび”の粉が入っていたお皿をなめ続けていました。

#なぜ“またたび”で猫はメロメロになるの?

猫 またたび

アクチニジンとマタタビラクトンは“またたび”に特有の成分で、猫の鼻腔と上顎の間にあるヤコブソン器官というフェロモンを感知する嗅覚器官で感知され、中枢神経を麻痺させることで性的興奮を起こさせると言われています。そのため、“またたび”の与え過ぎは、神経麻痺や呼吸困難を引き起こすと考えられてきました。しかし、吉井氏らの研究報告(1963年)によると、β-フェニルエチルアルコール、アクチニジン、マタタビラクトンが猫、犬、ウサギ、ラットに与える影響を調べた結果、中枢神経を麻痺させるような効果は認められませんでした。吉井氏らの報告では、下記のようなことが認められています。

・β-フェニルエチルアルコールとアクチニジンの経口投与で唾液作用がある。
・3つの成分は呼吸に影響を与えない。
・3つの成分は迷走神経を介して血圧をわずかに低下させた。
・3つの成分は投与経路に関係なく脳波に対して影響があった。(時々、海馬、視床下部、網状組織、および他の構造で独立または同期して発作放電が生成された)
・脳のコリン作動性ニューロンに作用する
出典:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1440-1819.1963.tb00003.x

脳波に発作的な放電を起こすことで、我々には奇妙に見える行動を取りはしますが、呼吸数や血圧に悪い影響を与えることはないことが分かります。また、コリン作動性ニューロンの機能低下は、アルツハイマー病やクロイツフェルト・ヤコブ病などの認知障害を伴う神経変性疾患の特徴の一つです。詳細は分かりませんが、コリン性作動性ニューロンを適度に刺激することで、認知障害の予防にも少しは効果があるかもしれませんね。以前は、“またたび”の麻酔作用成分はマタタビ酸であるという研究報告がありましたが、今はマタタビ酸という成分はないこと。マタタビラクトンは、イリドミルメシン、イソイリドミルメシン、ネペタラクトンなどの混合物だということが分かってきました。しかし、“またたび”に関する研究結果は古い物が多く、新しい研究はあまり進んではいないようです。さらなる研究結果が待たれるところです。

“またたび”の効果的な与え方

猫 またたび

“またたび”を与えることで中枢神経が麻痺するとか、呼吸困難に陥るような危険がないことは分かりました。しかし、何事にも限度というものがあります。また、“またたび”の効果には個体差も大きいです。中には、全く興味を示さない猫もいます。それぞれの猫にあった使い方や頻度を、飼い主さんが判断してあげることが必要でしょう。筆者の考えとしては、日常的に常用するものではないと思っています。それは、前述の通り一緒に暮らしていた愛猫の様子が恐いくらいに変貌した経験に基づいています。ただし、次のようなシーンで“またたび”を与えることで、猫にとっても飼い主さんにとっても有益な使い方ができるのではないかと思いますので、参考にしてみてください。

・新しい爪研ぎなどの導入時に、誘導用として使用する(爪研ぎの表面に“またたび”の粉やスプレーを少量散布する)
・猫の食欲が落ちた時の食欲増進剤として使用する(食餌の上に、ほんの少量の“またたび”の粉やスプレーを散布する)
・飼い主さんがじっくりと遊んであげる時間のない時のストレス発散用(“またたび”の枝をおもちゃとして与える、おもちゃに“またたび”の粉やスプレーを少量散布する等)

猫に“またたび”を与えるときの注意事項

猫 またたび

“またたび”は、我々にとっての嗜好品のようなものであると述べました。我々は自分の意思で嗜好品(コーヒー、お酒、煙草など)を選び、自ら摂取・使用しますが、猫が自分の意思で“またたび”を使用することはありません。そのため、猫に“またたび”を与えてその姿を楽しむのは倫理的に問題があるという議論があります。筆者も、猫が“またたび”により泥酔しているような様子を見て楽しむのは、如何なものかと思います。しかし、猫のために導入した器具を使わせるための誘導用や、食欲不振や猫のストレス発散を目的に使用する場合は、注意深く使用すれば問題ないと考えています。具体的には下記のような観点で注意をすれば、安心なのではないでしょうか。

・与えすぎ(量)に注意
猫により反応の強さが異なりますので、まずはごく少量から始める
・与えすぎ(頻度)に注意
日常的に常用するのではなく、効果的なタイミングでのみ使用する
・猫の様子に注意する
“またたび”を与えている時は、猫の様子に注意しましょう。特におもちゃとして与えている時には、猫が“またたび”の枝やおもちゃを誤飲しないように注意が必要です。
・脳に問題を抱えている猫には与えない
“またたび”は脳波に影響して発作放電を生成しますので、脳炎・脳腫瘍やてんかん発作を起こすような病気の猫には、与えるべきではないでしょう。

ネコ科動物と“またたび”

猫 またたび

“またたび”に反応するのは、イエネコだけではありません。ライオン、トラなどのいわゆる大型ネコも、“またたび”でイエネコと同じ反応を示すことが分かっています。いくら食物連鎖の上位に君臨しているからと言っても、厳しい自然界で“またたび”に反応していたら、大型ネコにとっても不利な状況になりそうなものですが、淘汰されずにしっかりと遺伝子の中に残されてきました。もしかすると、我々がまだ知らない“またたび”の効能があるのかもしれませんね。

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