猫の嘔吐の19の原因と10の予防策

猫は日頃からよく嘔吐する動物なので、「また吐いている」と思うだけであまり心配しない飼い主さんも多いようです。しかし、嘔吐にもさまざまな原因があり、中には急を要する重篤なケースが潜んでいることも。猫の嘔吐を理解して、適切な対処ができるようになりましょう。

猫はよく吐く動物だから吐いても安心。それ、本当ですか?

嘔吐とは、吐き気と唾液の分泌があり、主に消化された胃の内容物を口から排出することです。これは、体に有害なものを排除するための、持って生まれた生体防御機能です。犬や猫は嘔吐中枢が発達しているため、病的な嘔吐に限らず、生理的にもよく嘔吐を行う動物です。特に猫の場合は、グルーミングの際に飲み込んだ被毛が胃に溜まり、それを毛玉として時々吐き出します。そのため、「猫はよく吐く動物なので、吐いてもそんなに心配する必要はない」と思ってはいませんか。嘔吐は、体に有害なものを排除するための防御機能ですから、全ての嘔吐について安心できるという訳ではありません。もしかすると、急を要する重篤な病気が潜んでいるのかもしれません。猫の嘔吐を理解し、すぐに動物病院で診てもらうべき状態であるかどうかを判断できるようになりましょう。なお、ほとんど未消化のフードを戻す場合は、食道や咽頭への刺激による未消化物の吐出であって、厳密には嘔吐とは区別されます。同じ「吐く」症状ですが、吐出と嘔吐では原因が異なります。吐出の場合は胃に到達する前の未消化のものがケポッと吐き出されますが、嘔吐の場合は吐く前に苦しそうにお腹を数回グッグッグッと波打たせた後に、一気に消化しかかった胃の内容物を吐き出しますので、そこをポイントに見分けることができます。

嘔吐の原因

嘔吐の原因は、実にさまざまです。大きく分類すると、消化管の問題、消化管以外の問題、その他の問題に分けられます。それぞれの分類毎に、代表的な原因を挙げておきます。

<消化管の問題>
・薬の誤飲、副作用
・胃腸管の閉塞、捻転
・胃炎
・膵炎
・胃潰瘍
・感染症(ウィルス、細菌、寄生虫等)
<消化管以外の問題>
・腎不全
・子宮蓄膿症
・糖尿病などに代表される代謝性疾患による電解質異常
・乗り物酔い
・てんかんや腫瘍などの中枢神経系の疾患
<その他の問題>
・おもちゃ、タバコ、種子、電池、硬貨等の異物誤飲
・シクラメン、ユリ等の観葉植物や飼い主さんが服用している薬、食物の誤飲による中毒
・過食
・空腹
・熱中症
・不安
・ストレス
・便秘による排便時の力み(特に高齢猫の場合に多い)

心配しなくて大丈夫であろうと思われる嘔吐のケース

次のようなケースは、すぐに動物病院に連れて行かずにしばらく様子を見ていても大丈夫であろうと判断できます。
・嘔吐を繰り返していない
・嘔吐後もいつもと様子が変わらない
・吐瀉物に血や異物が混入していない
・嘔吐後にも餌を食べている

吐瀉物が透明の液体で白い泡が含まれている場合は胃酸、液体の色が黄色い場合は胆汁で、いずれも空腹時に吐くときに多く出るようです。これらの場合も、上記のような状態であれば、様子を見ていても大丈夫でしょう。ただし、あまりにも頻繁に嘔吐するような場合は、他の原因も考えられますので動物病院で診てもらいましょう。

心配すべき嘔吐のケース

次のようなケースは、様子を見るのではなく、なるべく早めに動物病院で診てもらうべきです。中には、すぐに処置をしなければ命に関わるような場合もあります。また、治療に長期間を要する場合もあります。いずれの場合も、早期に診てもらう事が大切です。
・何度も嘔吐を繰り返している
・頻繁に嘔吐している
・えずいているにも関わらず何も出てこない
・元気が無くぐったりしている、下痢、食欲不振、痙攣などの症状を伴っている
・吐瀉物に虫や異物、血が混入している
・吐瀉物から異臭がする

何度も嘔吐を繰り返す、または頻繁に嘔吐する場合は、生理的な嘔吐ではなく病的な嘔吐の可能性が高いです。目安としては、1日に何度も嘔吐する場合や一週間に1回以上嘔吐する場合は、動物病院で診てもらうべきだと判断しましょう。吐瀉物に血が混入している場合、色が赤やピンク色の場合は胃、食道、歯茎などからの出血が疑われます。また、暗赤色やコーヒーの残渣のような状態の場合は、胃、十二指腸からの出血が疑われます。また、腸閉塞などにより小腸の内容物が胃に逆流して嘔吐された場合は、吐瀉物が便のような臭いになります。なお、生後数ヶ月の子猫の場合は、成猫と比べると低血糖や電解質のバランスの乱れが生じやすいので、様子を見ることをせずに急いで動物病院で診てもらうべきでしょう。さらに、高齢の猫の場合も、早めに受診することが望ましいでしょう。

日頃のケアで行える予防策

家庭における日頃のケアで、ある程度猫の嘔吐を予防する事ができます。下記に挙げますので、参考にしてください。
・愛猫のフード管理をきちんと行い、腐ったものを食べさせない
・猫の手の届く範囲に観葉植物、飼い主さんが服用している薬や人の食べ物を置いておかない
・蓋付きのゴミ箱等を利用することで、猫にゴミ漁りをさせない
・食べ物以外でも、猫が飲み込めるような大きさのものは猫の手が届かないところに片付ける(ボタン電池、硬貨、小さなボール、猫用おもちゃ等)
・毛玉を頻繁に吐く場合は、ブラッシングの回数を増やす
・ワクチン接種により感染症を予防する
・猫の住環境から極力ストレスを排除する
・空腹による嘔吐を繰り返す場合は、量は変えずに回数を増やすことで空腹の状態を回避する。これにより、嘔吐の繰り返しが原因の胃炎や食道炎の発症を予防できる。またこれは、一気にガツガツと過食することへの防止にもなる
・定期的に健康診断を受ける
・便秘の場合は、可溶性繊維等の高消化性の療法食を与える

これらの予防策を日々心掛けていても、猫の嘔吐がなくなることはないでしょう。猫が嘔吐した前後の様子や吐瀉物の内容、嘔吐の頻度を確認し、飼い主さんが異常だと感じた場合は躊躇せずに動物病院で診てもらいましょう。動物病院では、下記について説明できるように準備をしておきましょう。できれば、実際の吐瀉物をビニール袋等に入れて持参すると良いでしょう。

・最初に吐いたのはいつか(吐いてすぐに連れてきた、2週間前に吐いてその後も続いている等)
・吐くタイミング(食後どのくらいの時間が経ってから吐いたか)
・吐いた時の様子(吐出か嘔吐か等)
・吐瀉物の内容、色、臭い、量
・嘔吐後の様子(ぐったりしていた、食欲がない、繰り返し嘔吐している等)
・異物(観葉植物、薬、人の食べ物、おもちゃ等)摂取の可能性
・嘔吐以外で気になる症状

関連記事一覧