猫のノミ2つの対処法とノミが原因で猫や人が発症する3つの病気

外部寄生虫の代表ともいえるノミは、その高い生命力と繁殖力で、一度寄生されると厄介なことになります。猫が寄生されると、さまざまな症状を発する可能性があり、人に被害が及ぶこともあります。動物病院と連携してノミに対処することが、愛猫の快適な生活にとっては大切です。

小さな体で大きな被害をもたらすノミ

ノミは数ミリの大きさで、鳥類や哺乳類などの温血動物の血を吸う寄生虫です。世界中に約1,300種類が存在しており、日本にも約80種類が存在します。ノミは昆虫類の中でも最も進化した生物であり、優れた環境適応力と繁殖力、そしておよぼす被害から、人、犬、猫に対して最も厄介な害虫の一つだといわれています。ヒトノミは主として人に、イヌノミは主として犬に寄生します。しかし、ネコノミは宿主特異性が弱く、犬や猫、そして人など、さまざまな動物に寄生します。日本国内では、ヒトノミはほとんど姿を消しました。また、イヌノミも数が減少しています。そのため、現在国内で犬や猫、人などに被害をおよぼしているノミの主流は、ネコノミとなりました。ネコノミの成虫は艶のある褐色をしており、オスで2.5mm、メスで3mmの大きさをしています。翅はなく、被毛の中を歩き回っています。後肢によるジャンプ力に優れていて、1回のジャンプで水平方向の場合は30〜40cm、垂直方向の場合も15〜25cmの移動が可能です。寄生するのは成虫だけで、卵、幼虫、サナギは周囲の環境に潜んで発育します。高温多湿の環境を好みますので5〜10月頃に活発になりますが、13℃以上の環境で十分に活動できますので、人や猫の住環境では一年中活動していると考えてよいでしょう。

ノミが原因で猫や人が発症する病気

ノミを原因とする被害には、下記のようなものが挙げられます。

<ノミの吸血に伴う被害>
・貧血
1匹のノミによる吸血量はわずかですが、多数寄生された場合には貧血を起こすことがあります。
・かゆみ
ノミに吸血された皮膚にはかゆみが発生します。かゆみはストレスの原因にもなり、猫の生活の質を下げます。また、かゆくて猫が掻きむしることにより、細菌が感染して化膿性の皮膚炎を起こすこともあります。
・ノミアレルギー性皮膚炎
ノミは、針状の口を猫の皮膚に刺して吸血します。その際、血液が凝固しないように唾液を注入します。この唾液に含まれる成分がアレルゲンとなって、アレルギー反応を起こす猫がいます。その場合は、ノミアレルギー性皮膚炎を発症してしまいます。症状のレベルは猫の個体によりますが、重症な場合は尾根部から大腿部にかけて広範囲に脱毛し、表皮が厚くなり、ヒダ状に重積します。また、発症を繰り返した場合、高齢化するに伴い症状が悪化する傾向にあります。
<ノミが媒介する疾病>
・条虫症
ネコノミの幼虫が、成長過程でサナダムシの卵を食べることがあります。猫が毛づくろいをする際に、サナダムシの卵を食べたノミを飲み込んでしまうと、サナダムシが猫の体に寄生し、下痢や嘔吐を引き起こします。
<人への被害>
・吸血によるかゆみ
ノミに吸血されることにより、人の皮膚にも発赤、丘疹などの皮膚症状と激しいかゆみが生じます。また、人もノミアレルギーによりじんましんのような症状を起こす場合があります。
・猫ひっかき病
バルトネラ菌を持ったノミに吸血されたことで犬や猫に感染する病気で、感染した犬や猫による引っ掻き傷や咬み傷から、人にも感染します。ただし、犬や猫は感染しても無症状なためなかなか気づけません。人に感染すると、傷口が化膿し、リンパ節が腫れて痛みが出、発熱する場合もあります。重篤な場合は、けいれん発作や意識障害で脳症を併発することもあります。なお、人が直接ノミに吸血されて感染される可能性もあります。

ノミの見つけ方と見つけた場合の対処法

ノミは体が小さく、被毛の中で素早く動いていますので、直接見つけるのは難しいです。そのため、ノミの糞を見つけることで、ノミの寄生をチェックしましょう。ノミ取り用の目の細かい櫛が市販されていますので、それで猫の被毛を丁寧にとかします。櫛の歯に、小さくて黒い粒が付いていたら、それを濡れたティッシュの上に乗せます。数秒後に黒い粒が溶けて赤茶色や赤黒い染みができた場合は、ノミの糞です。ノミが寄生していますので、動物病院でノミの駆除をしてもらう必要があります。なお、櫛の歯に直接ノミが付いていることや、猫の被毛の中にいるノミを直接見つける場合があります。その場合、ノミを潰してはいけません。ノミがメスで抱卵している場合、その卵をばら撒いて繁殖に寄与してしまう可能性があるからです。その場合は、たらいなどに水を張り、ノミ取り用の櫛で捕まえたノミを櫛ごと沈めましょう。

ノミの駆除方法

猫にのみが寄生していた場合、市販の駆除薬や駆除用品を使用することは、あまりおすすめできません。それは、駆除効果の低いものが多いためです。動物病院で受診すると高くなるため、安価に入手できる市販品で済ませたいと考える飼い主さんも多いようですが、期待していた効果が出ず、悪化してから動物病院に行き長い治療が必要となる方が、結局トータルでかかる費用は高くなることでしょう。まずは動物病院で診てもらい、適切な駆虫をしてもらいましょう。気をつけなければならないのは、1回の駆虫でノミの駆除が終わるわけではないということです。おそらく、最初はノックダウン効果のある殺虫剤により、現在寄生している成虫を即効的に駆除することになります。しかし、駆除はそれだけでは終わりません。なぜならば、住環境の中に潜んでいるノミの卵や幼虫が成虫になり、再び猫に寄生してしまうからです。そのため、第二弾として一定期間持続する薬品を継続的に投与することになります。この段階で、飼い主さんの自己判断で投薬を中止してしまっては意味がありません。

動物病院としっかり連携し、きちんとノミの駆除を行いましょう。そして、もう一つ重要なことは、飼い主さんによる住環境の掃除です。カーペット、畳、ベッド、敷物、ジュータン、家具の下などにノミの卵や幼虫、成虫が潜んでいます。これらの場所に重点を置き、徹底的に掃除機をかけ、部屋を清潔に保ちましょう。掃除機をかけた後のパックは、すぐに捨てることが大切です。その後、ノミが生息していそうな場所に、殺虫剤を撒いてノミを駆除します。殺虫剤の散布後、一定時間が経過した後に、再び掃除機をかけて吸い取ります。殺虫剤は犬や猫にも有害なので、完全に吸い取るまでは、犬や猫をその部屋に入れないように注意しましょう。

一番重要なのは予防

ノミの繁殖力と生存力はとても高いため、一度ノミを寄生させてしまうと、その駆除にはとても苦労することになります。そのため、ノミを見つけてから駆除するのではなく、ノミを寄生させないように予防することが重要になってきます。ノミに寄生されやすい場所は、草むらや緑の多い公園や河川敷などです。また、他の犬や猫と接触することで寄生することも多いです。猫だけの場合は完全室内飼いをすることで、ある程度予防することができますが、人がノミを連れてきてしまうこともあるので、油断はできません。また、犬と一緒に暮らしている猫の場合は、散歩から帰ってきた犬からうつされることもあるでしょう。犬も猫も、外から帰ってきたらしっかりとシャンプーをすると良いです。そして、室内のこまめな掃除で清潔な状態を維持し、定期的な殺虫剤の散布を行うと良いでしょう。愛猫の生活環境を考えるともっとしっかりと予防したいという場合は、動物病院に相談し、予防薬を処方してもらいましょう。さまざまなタイプの予防薬がありますので、その薬にあったプログラムをしっかりと守り、正しく予防してあげましょう。

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