猫の3つの目の病気や視力低下の9つのサイン

猫の病気というと、感染症や腎臓病にばかり目がいってしまいますが、目の病気や視力の低下も心配なところです。目は比較的見えやすい部分ですし、視力の低下も行動に現れますので、ポイントを絞って愛猫の様子を観察すれば、早期に目の病気や視力の低下を発見し、適切な手を打つことが可能です。

猫が目を気にしている場合は病気かもしれません

猫の様子を見ていて、最近よく目をこすっている、いつも涙が出ていて目の周りが赤茶色になっている、目ヤニが多い、なんだか目の状態がおかしいというような事に気付き、心配されたことのある飼い主さんもおられるのではないでしょうか。よく目をこすっているのは、目に異物が入ってしまったとか目が痛いというサインかもしれません。目の周りが赤茶色になっているのは、涙の成分が陽に当たり酸化したことが原因なので、それ自体は問題ないのですが、涙が出ているという状況自体が普通ではありません。目ヤニが多いとか目の状態がおかしいというのも、普通の状況ではありません。今回は、猫の目の病気に焦点をあてて、どのような病気があるのか、どのようなことに気をつければよいのかについて、解説します。

猫に多い目の病気3つ

アニコム損害保険会社がインターネット上で公開している診療費情報の開示システム<https://www.anicom-navi.com>で、猫の目と目の周りの部位で目に関する症状を条件に検索したところ、2015年4月1日から2017年3月31日に保険契約の始期を迎えた動物の、アニコム損保への保険金請求頭数の上位6位は、角膜炎(1,036頭)、猫伝染性鼻気管炎(534頭)、眼瞼炎(484頭)、眼瞼内反症(31頭)、猫カリシウィルス(17頭)、麦粒腫(8頭)でした。まずは、この中でも特に頭数の多い上位3つの病気についてみていきましょう。

角膜炎

角膜とは、眼球表面の前方を覆っている透明な膜のことで、眼球に光を取り入れる入り口という役割と、水晶体と共にピント調節を行うという役割を担っています。ここに、細菌やウィルス、真菌などが感染したり、物理的な刺激を受けたりして炎症を起こした状態が角膜炎です。猫の場合は、猫ヘルペスウィルスの感染による場合が多いといわれています。感染部位が角膜の表面なのか深層なのかによって、さまざまな病態を示しますが、深層が感染した場合は潰瘍となり、視力障害が起こります。症状としては、よく涙を流している、眩しがって目を開けていられなくなる、粘液性の目ヤニが出る、眼瞼(まぶた)が痙攣する、結膜炎を起こすなどがあります。また、慢性化すると角膜が白く濁るとか、血管新生といって既存の血管から新たに枝分かれした血管ができて角膜に血腫のようなものがみられるようになることもあります。

猫伝染性鼻気管炎

いわゆる猫風邪と呼ばれているものの一つで、猫ヘルペスウィルスの感染が原因で起こります。栄養不足やストレス、体が冷えるといったことは猫風邪の誘因ですが、原因ではないのです。猫伝染性鼻気管炎の最も多い感染源は、急性発症した猫の目や鼻からの分泌物や唾液です。また、この病気は一旦回復しても中枢神経系内にウィルスが潜んでおり、持続感染することが多いのが特徴です。多頭飼いの場合、発症中は隔離していても、回復後にすぐに他の猫たちと一緒にしてしまうことで感染が広がってしまうので、注意が必要です。このウィルスは鼻から侵入し、2〜4日の潜伏期間を経て40℃前後の発熱が起こり、くしゃみや涙、鼻水が出、結膜炎を起こします。結膜炎は、角膜炎、角膜潰瘍へと進行し、失明の恐れもあるので注意が必要です。猫ヘルペスウィルスや、前述のアニコム損保で5位に上がっていた猫カリシウィルスの感染症は、いずれもワクチンの接種により予防できますので、定期的に予防接種を受けることで、症状の発現を最小限に抑えるようにしましょう。

眼瞼炎

眼瞼とは、いわゆるまぶたのことです。まぶたは目の上下にあり、これらに炎症が起こった状態を眼瞼炎といいます。まぶたへの外傷や、生まれつきまたは後天的なまぶたの異常(まぶたが外側または内側にめくれた状態になる、まぶたをきちんと閉じられない等)、他の病気(結膜炎、角膜炎、ドライアイ、流涙症等)、細菌・真菌・寄生虫の感染などが原因で起こります。症状としては、目の周囲が赤く腫れたり脱毛したり化膿したりする他、目をよくこすったり、まばたきが多くなったり、よく涙を流すようになります。一口に眼瞼炎といっても原因がさまざまなので、きちんと受診して原因を見極め、適切な治療を行うことが大切です。

猫の視力が低下しても飼い主さんは気付きにくい

目の病気で飼い主さんが最も心配なのは、視力低下や失明ではないかと思います。しかし、猫は人のように言葉で症状を説明してくれません。また、人とは異なり、普段から視覚よりも聴覚や嗅覚を活用して行動しています。そのため、住環境が大きく変わってしまった場合を除くと、猫の視力が低下していることになかなか気付けないことが多いのです。下記に、猫の視力が低下してきた場合のサインをいくつか挙げますので、目の様子がおかしいとか、高齢になってきた等により愛猫の視力が心配な飼い主さんは、これを参考にしながらよく愛猫の様子を観察してみてください。

<猫の視力が低下してきたときのサイン>
・高いところからうまく降りられなくなる
・慎重に歩くようになる
・よく鳴くようになる
・周囲の明るさが変わっても瞳孔の大きさが開いたまま変わらないことが多くなる
・物事に対する反応が過剰になる(声をかけずに撫でた時等)
・よく目をこすったり細めたりするようになる
・歩いていて物にぶつかったりジャンプに失敗したりすることが多くなる
・食事の際、水や餌に対する距離感が取れなくなる
・目の前でおもちゃなどを動かしても瞳がそれを追わなくなる 等

愛猫の健康管理は日常の様子を観察することから

今回は3つの病気に絞ってご説明しましたが、他にも涙が鼻に抜ける通り道が詰まっているために常に涙が出ている状態になるとか、第三眼瞼(瞬膜)が目頭の奥に隠れずに常に出っぱなしになる、赤く腫れ上がるなども、よく耳にする症状です。他にも、白内障、緑内障、ぶどう膜炎などの目の病気や、脳や中枢神経の病気が原因で左右の瞳孔の大きさが違ったり瞳孔が揺れたりするなど、目に症状が現れる病気はたくさんあります。目の周りの様子や猫の日頃の行動をよく観察することで、飼い主さんがいち早く目の病気や高齢化に伴う視力の低下などに気づくことができ、愛猫の健康管理と安全で快適な住環境の提供ができるようになります。愛猫と一緒にいられる時間は、そういう観点からもよく観察するようにしてみてください。

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