猫に多い膀胱炎の症状・原因・治療・予防について

猫は泌尿器系の疾患を発症することが多いと言われています。実際、ペット保険の保険金請求件数でも泌尿器系の疾患が上位にランクインされています。皮膚病のように見た目だけでは気づけない膀胱炎について、症状・原因などを理解することで、早期発見や予防に努めましょう。

猫に多い泌尿器系の病気

最近、アイペット損害保険株式会社が2018年1月1日〜12月31日までの期間における、ペット保険金請求データの調査結果を発表しました。それによると、猫における通院・入院・手術を含めた総合的な保険金請求件数の順位は下記の通りでした。

順位症状
1位下痢
2位皮膚炎
3位腎臓病
4位膀胱炎
5位異物誤飲

また、年齢別の順位は下記のようになっています。

順位0歳 1〜6歳 7歳以上
1位下痢 皮膚炎 腎臓病
2位結膜炎 膀胱炎 腫瘍
3位猫風邪 下痢 心臓病
4位外耳炎 腎臓病 皮膚炎
5位皮膚炎 異物誤飲 膀胱炎

これらを見ると、猫は泌尿器系の疾患を多発し、中でも膀胱炎は、若い頃から多く発症していることが分かります。下痢、皮膚炎、結膜炎、外耳炎、猫風邪等は見た目からも早期に発見できそうですが、膀胱炎をはじめとする泌尿器系の疾患は、見た目からすぐに気づくのは難しそうです。今回は、膀胱炎について、その症状や原因、予防策等を説明していきます。

膀胱炎の症状

最初は、頻尿の症状が現れます。猫は何度もトイレに行き、その都度排尿姿勢をとりますが、その割には尿の量が増えていないことに気づくでしょう。そのうちに、いつもきちんとトイレで排尿をしていた猫も、トイレ以外の場所で粗相をすることが出てきます。そして、排尿時に背中を曲げたり大きな声で鳴いたりするようになり、お腹を触ると痛がるようになります。これは、排尿時に痛みを伴うためです。場合によっては、排尿困難のためにお腹が膨れることもあります。また、細菌等の感染の場合は尿が白濁し、膀胱や尿管の粘膜から出血した場合は血尿が出ることもあります。尿の臭いがいつもと違って鉄くさいために気づいたという飼い主さんもいますとにかく、猫が頻繁にトイレに行くのにおしっこの量が少ないとか、排尿時に猫が痛がっているような場合は、膀胱炎を疑い動物病院で診てもらうべきだと考えましょう。

膀胱炎の原因

尿検査の結果、尿に細菌や真菌が出ている場合は、下部の尿路から細菌や真菌などが侵入して感染し、膀胱が炎症を起こしたと考えられます。特にメスの場合は尿道が太くて短いため、感染しやすいと考えられています。尿に細菌ではなく、細かい結晶が出ている場合は、尿石症といって腎臓から尿管、膀胱、尿道にかけて尿結石が形成される病気が原因であると考えられます。ミネラル分の多い食べ物やミネラルウォーター(硬水)などに含まれているミネラル分が析出して結晶化するために、尿結石ができるのです。そして尿結石が膀胱内の粘膜を傷つけて炎症を起こすのです。これは雄に多いのですが、メスでも尿石症が原因で膀胱炎を発症する場合がありますので、注意が必要です。そして、以外に多いのが「突発性膀胱炎」といって原因が分からない膀胱炎です。

最近の研究ではストレスが膀胱炎の原因になるという報告もあり、突発性膀胱炎の原因にストレスが大きく関わっていると考えられるようになっています。ストレスにより交感神経が過剰に働き、膀胱を刺激して排尿しづらくしてしまうというのです。また、トイレが汚れたままになっていたり臭いが残っていたりすると、それを嫌がった猫がトイレを使用したくなくて我慢をしてしまい、膀胱内に細菌が長い時間留まったために膀胱炎を発症するとも考えられています。1〜10歳までの、比較的若い頃の膀胱炎は突発性膀胱炎が多く、高齢になり甲状腺機能亢進症、糖尿病、慢性腎不全などの持病を持っている猫は感染性膀胱炎が多い傾向にあるようです。

膀胱炎の治療と予防

まずは動物病院で検査をしてもらい、膀胱炎の原因を突き止めます。共通的には止血剤や消炎剤の投与を行います。そして、感染性の場合は、抗生剤を投与します。尿石症が原因の場合は、まず尿石の種類を見極めます。猫に多いのはリン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト)を主成分とする尿結石です。他にも、シュウ酸カルシウム、尿酸アンモニウム、尿酸などの成分による結石もあります。これらの成分を見極めることで、適切な療法食を与えて結石を溶かします。場合によっては、手術により尿結石を取り出す処置が必要な場合もあります。いずれの場合も、水分を多く取り、たくさん排尿して膀胱をきれいにすることが大切です。飲水だけでは不十分な場合、皮下補液による水分補給を行う場合もあります。

いずれにしろ、膀胱炎は再発性が高い疾患です。飼い主さんの自己判断で投薬を中断してしまったり、療法食以外のフードを与えてしまったりすると、きちんと完治せず、何度も繰り返すことになります。くれぐれも自己判断で中断してしまわずに、獣医師とタッグを組んできちんと完治を目指しましょう。獣医師とタッグを組むということは、言われた通りにするという事ではありません。何か少しでも疑問点や違和感を感じた場合は、遠慮せずに獣医師にどんどん質問しましょう。そして、きちんと納得した上で、獣医師の指示に従いましょう。再発予防策としては、下記を挙げることができます。

・飼い猫のストレスを排除する
引っ越しや部屋の模様替え等による新しい環境、新しい同居人(動物)、工事等による騒音などがよくあるストレスです。一概に排除するのは難しいと思いますが、できる限り排除した上で、排除しけれない分はストレスのケアをしっかり行いましょう。
・なるべく多くの水を飲ませて排尿を促す
水飲み用の容器を複数用意し、室内の複数箇所に設置することで、いつでも新鮮な水を飲めるようにしてあげましょう。流れている水が好きな子、好みの容器でしか飲まない子もいます。様子を見てそれぞれにあった容器を用意してあげましょう。また、夏は冷たい水、冬は少しぬるめの水など、温度も工夫してみましょう。
・静かで落ち着ける環境にトイレを設置するトイレは、静かで落ち着ける場所に設置してあげましょう。トイレの数は「頭数+1個」が適切な数です。また、猫砂やトイレの形状や大きさも、その子にあったものを用意してあげましょう。もちろん、トイレはこまめに掃除することが大切です。
・定期的に尿検査を含めた健康診断を行う
定期健康診断の際は、血液検査だけではなく、尿検査やレントゲン検査、超音波検査なども受けるようにしましょう。総合的に検査することで、普段の健康状態や体質を把握することができ、早期発見と適切な治療につながります。また、レントゲン検査を行うことで、尿結石を発見することもできます。

膀胱炎は排尿時の様子をよく観察することで気づける病気です

膀胱炎は、若い頃を含めて猫に多い病気です。しかも、見た目から発見するのは難しいです。体重と共に、排泄物も健康にとっては重要なバロメーターです。猫の排泄の様子や排泄物を日頃からよく観察しましょう。特に、猫は泌尿器系の病気を多発するので、おしっこの回数や量、色、においなどを気にする事で、膀胱炎に早く気づいてあげることができます。

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