猫 怯えてる

猫のレントゲン検査で分かることと猫への負担について

人と同様に、猫も健康診断や病気の診断にレントゲン検査を利用します。人と違い、猫は獣医師の言葉を理解しておとなしく検査を受けることはできません。レントゲン検査で何が分かり、猫にどの程度の負担を強いることになるのか、費用はいくらくらい掛かるのか等について説明します。

レントゲン検査で分かること

レントゲン

レントゲン検査とは、X線検査とも呼ばれている通り、X線で体の中の様子を撮影することで、体の外側から体の中を検査する方法です。猫に限らず、私たち人間も、健康診断等でよく受けている検査の一つです。目的の部位にX線を照射し、通過したものを画像化します。骨などのX線が通りにくいものは、白く写ります。空気はX線が通りやすいので、中に空気が入っている肺などは黒く写ります。そして、組織の厚さやX線の通りやすさなどにより、それぞれの臓器や器官も白と黒の濃淡となって写り、臓器の位置、形、大きさなどを見ることができるのです。ですから、撮影の対象は胸部や腹部、手足や頭など全身にわたります。

また、食道・胃・腸などの消化管は、普通にレントゲン撮影をしただけでは他の臓器との差が小さくてはっきり写らないため、X線の吸収率が高い非水溶性の硫酸バリウムなどの造影剤を飲ませてから撮影することもあります。以前はレントゲンフィルムに撮影し、現像してからでないと診断できませんでしたが、最近はフィルムを使わないデジタル画像の方が主流になってきています。デジタル画像の場合は、現像がいらないため撮影後すぐにモニターで画像を確認でき、かつ画像も鮮明で、拡大したりコントラストの調整をしたりといった画像の編集もしやすいというメリットがあり、診断率も向上しています。

レントゲン検査で診断できること

猫 足

レントゲン検査の結果異常がない場合は、臓器の形やX線の透過性に問題はないと診断できます。では、異常があった場合、どういった診断ができるのでしょうか。まず簡単にイメージできるのは、骨折や脱臼といった骨の変化でしょう。猫の歩き方がおかしい場合、骨のレントゲン検査を行います。骨折や脱臼の場合はレントゲンですぐにその箇所や状態が分かることが多いです。また、背骨(脊椎)に異常がある場合は神経に異常をきたしているとか、関節の形状に異常が見られる場合は関節炎が原因といった診断ができます。臓器の場合はどうでしょうか。臓器の形がわかりますので、正常と異なる形をしていた場合は、腫瘍が疑われます。

また、色により診断できるものもあります。肺の場合、通常は肺内に空気が満たされていますので黒く写ります。しかし、肺炎が起きると肺の中に空気が入れなくなり、また炎症が起きていることもあり、肺が白く写ります。猫の場合は呼吸器疾患が多いので、胸部レントゲン検査は大切な検査です。気管支や肺に病変が見られた場合は、気管支鏡検査やCT検査等、次に必要な検査に進む場合もあります。また、嘔吐や下痢がある場合は、腹部のレントゲン検査が大切になります。嘔吐や下痢といった症状に多いのは、異物の誤飲ですが、飲んだ異物の材質によってはレントゲンにはっきりと写ります。レントゲン検査によりこれらの診断を得て、次に必要な検査を行ったり必要な治療を開始したりできるのです。

レントゲン検査でかかる猫への負担

猫 怯えてる

レントゲン検査は、1回の検査で1枚の写真を撮るわけではありません。猫の体は立体ですから、1枚の写真では判断できません。通常は、垂直2方向から撮影します。胸部と下腹部の場合は、仰向け、またはうつ伏せに寝かせ、前足を万歳させ、後ろ足もまっすぐに引っ張って左右対称な体勢に保定して、上から撮影します。次に体を横向きに寝かせて体軸面を水平になるように保定して、上から撮影します。場合によっては反対側の側面を下に向けて同じように撮影することもあります。骨の場合も患部のある脚と正常な脚の両方を撮影して、正常側と患部側を比較できるようにします。そのため、1回の撮影で複数枚の写真を撮影することになります。

しかしレントゲン検査は、CT検査やMRI検査のように全身麻酔をかける必要がありませんし、複数枚の撮影をしても長くて20分程度で終わりますので、他の検査と比べると猫にかかる負荷は低い検査と言えます。また、撮影時の保定に関しても、猫の体は人や犬と比べてもとても柔軟にできていますので、人が考えるほど負荷はかかっていません。ただし、診断をするためには正確に左右対称な像や水平な像を撮影する必要がありますので、撮影時は体軸の歪みがなく脊椎が直線上に来るように等、しっかりと猫を保定します。そのため、猫が暴れてしまって撮影できない場合は鎮静薬を使用する場合もあります。

鎮静薬も、すぐに覚める薬を使用すれば、麻酔と比べるとリスクはとても低いと考えても問題ないでしょう。X線による被曝を心配される飼い主さんも多いと思いますが、通常のレントゲン検査による被曝量はとても小さく、短い期間内に複数回のレントゲン検査を受けた場合でも、ほとんど影響はありません。ただし、胎児はX線への感受性が高いので、受診する猫が妊娠中の場合は注意が必要です。

レントゲン検査にかかる費用

猫 お金

獣医療の費用は病院によって個別に設定することになっていますので、一概には言えませんが、一般的には4,000〜5,000円前後で、枚数や造影剤の使用等により料金が追加され、高くて20,000円程度までかかる場合もあるという範囲で考えておくとよいでしょう。獣医師に、検査費用がいくらくらいになるのかを事前に確認しておくとよいです。中には、お金のことを事前に聞くのは気がひけるという方もいらっしゃるようですが、獣医療は人の医療費と異なり、全額自己負担になりますので費用も馬鹿になりません。事前に相談することは失礼なことではありませんので、遠慮なく聞いてみましょう。

愛猫にも定期的な健康診断を!

猫 草むらの中

猫がまだ若くて健康な時から定期的に健康診断を受け、レントゲン検査、尿検査、血液検査等の記録を残しておくことで、その猫の健康な時の体の状態を把握することができ、いざ発病した時にも、より適切な処置をしてもらえます。獣医療は全額負担となるため費用がかさみ、健康なうちはもったいないと考えがちかもしれませんが、若くて健康な時から、定期的に健康診断を受けておくことをおすすめします。人と同様に、猫も病気の早期発見早期治療と日頃のケアが、健康に長生きしてもらうために重要なことなのです。レントゲン検査による猫への負担もそんなに大きいものではありませんし、決して危険な検査ではありません。うまく利用して愛猫の健康管理に役立てましょう。

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