猫 横顔

猫の目の構造、瞳孔が縦長である理由と病気の兆候について

人の目と異なり、猫の瞳孔は縦長なアーモンドのような形をしています。今回は猫の瞳孔に注目し、猫の瞳孔が縦長である理由や瞳孔の大きさで分かる猫の気持ち、瞳孔に現れる病気の兆候について説明します。愛猫との絆を深めるためにも、瞳孔に対して少し関心を寄せてみませんか。

目の構造

猫 目

目を正面から見ると、色のついている部分の真ん中に、黒目と呼ばれている部分があります。この黒目の部分が瞳孔で、色のついている部分が虹彩です。人も猫も、周囲の明るさによって瞳孔が大きくなったり小さくなったりして、目の中に取り入れる光の量を調節しています。私たちには黒目の大きさが変わっているように見えるのですが、実際は虹彩の中にある筋肉が収縮することで、瞳孔の直径を変えています。

動物の目は同じような構造をしていますが、各動物の生活に最も適した形態に進化をしてきたため、下記のように瞳孔にもいろいろな形があります。
・丸い瞳孔 :人、犬、鳥、牛等
・横長の瞳孔:やぎ、羊、馬、鯨等
・縦長の瞳孔:狐、猫、ワニ等
・三日月型 :イルカ、エイ等
・形が変化しない:ヤツメウナギ等

猫の瞳孔が縦長である理由

猫 横顔

人の瞳孔は丸い形のまま大きくなったり小さくなったりしますが、猫の瞳孔は、前述の通り縦長で、スリットのように細くなったり丸くなったりします。人のような丸い形や馬のような横長の瞳孔を持つ動物は、昼行性の動物に多く、猫のように縦長の瞳孔を持つ動物は、夜行性や薄明薄暮性の動物に多いと言われています。縦長の瞳孔は、丸い瞳孔よりも素早く形を変えることができ、かつ、より大きく開くことができるという特徴を持っています。そのため、瞳孔を細めることで光量をほとんどゼロの状態にでき、逆に瞳孔を丸く全開の状態にすることで大量の光を取り込める、それも瞬時に調節できるというメリットがあるのです。猫の場合、瞳孔の幅は最小で1mm以下になり、最大の場合は14mm程度、面積にして160㎟程度にまでなると言われています。一方、丸い瞳孔を持つ人の場合は、最小時の幅が2mm、最大で8mm、面積にして50㎟程度と言われています。さらに、草むらや茂みの中などの縦長の障害物が多い環境で獲物を狙うには、縦長の瞳孔の方が有利であるとも考えられています。逆に、馬のように食べられる側の動物にとっては、いつでも広い視野でハンターの存在を察知する必要があるため、横長の瞳孔を持っていると考えられています。

瞳孔で分かる猫の気持ち

猫 黒猫

瞳孔の形を変えている虹彩の筋肉には、瞳孔を小さくする括約筋と大きくする散大筋の2種類があります。そして、括約筋は副交感神経に、散大筋は交感神経に支配されています。副交感神経はリラックスしている時に、交感神経は緊張している時に優位になります。そのため、瞳孔の形は、周囲の明るさだけではなく、猫の状態によっても変化するのです。つまり、猫の瞳孔の形は下記のように猫の精神状態も示しているのです。

・細い
リラックスしています。ただし、同時に耳が伏せている、ヒゲが水平な状態であるという時は、恐怖を感じていることも。また、同時に耳が水平な状態の時は警戒していることも。

・アーモンド状(紡錘形)
平常心です。

・丸く大きい
同時に耳がピンと立っていてヒゲが前を向いている時は、その方向に興味津々な対象物があり、興奮しています。また、同時にヒゲが顔の方に向いている時は、びっくりしていることも。ただし、耳が伏せていたりヒゲが水平な状態だったりしている時は、恐怖を感じていることも。

瞳孔に現れる病気の兆候

猫 睨む

日頃から猫の瞳孔の様子を観察しておくことで、病気の兆候に気がつくこともできます。日頃から愛猫の瞳孔の様子を観察しながらコミュニケーションを深めておくことで、瞳孔の異常に気付きやすくなります。では、瞳孔に異常が現れる病気には、どのようなものがあるのでしょうか。

常に瞳孔が開きっぱなしである場合

明るさや感情に関係なく、常に瞳孔が大きく開いたままの状態であるという場合は、下記のような病気の可能性があります。

緑内障

眼球内では、房水が産出されたり排出されたりすることで一定の眼圧が維持されているのですが、何らかの原因で房水の排出が阻害されてしまって眼圧が上昇した状態になるのが緑内障です。眼圧の高い状態が続くと視力障害が発生し、眼球が拡大していきます。失明に至る可能性もある病気です。

白内障

水晶体の一部または全部が白濁し、視力障害が伴います。進行すると、緑内障を併発し、失明する可能性もあります。

慢性腎不全

数カ月から数年にわたり、徐々に腎臓の機能が低下していく病気で、腎臓が萎縮していきます。腎臓の細胞は再生しませんので、罹患してしまったら治すことができません。早期に発見し、食餌療法を始めることで進行を遅らせることが重要になります。

甲状腺機能亢進症

特に中高齢の猫に多く、甲状腺ホルモンの分泌量が過剰になる病気です。食欲が増進し活発になったり攻撃的になったりするので、なかなか病気に気付きづらいのですが、「よく食べるのに痩せていく」というのが特徴的な症状です。

左右の瞳孔の大きさが異なる場合

瞳孔の大きさが左右で異なる場合には、下記のような病気の可能性があります。

中耳炎

鼓膜のさらに奥にあるのが中耳で、そこに炎症が起きる病気が中耳炎です。中耳炎が原因で瞳孔の大きさに問題がある場合、前庭器官にまで影響が及んでいることもあります。瞳孔の大きさの他に、眼振といって眼球が痙攣したように動いたり揺れたりする症状がみられたり、耳を傾けたりかゆがったりするといった症状もみられます。

ホルネル症候群

片方の瞳孔だけが小さくなり、小さい瞳孔の方の目をうまく開けられないといった症状の場合、ホルネル症候群の可能性があります。これは顔の交感神経が麻痺することで起こる病気で、鼻炎から中耳炎になり、ホルネル症候群になるという経過が多いようです。

網膜変性症

網膜が変性してしまい、徐々に視力を失っていく病気です。瞳孔の大きさの他に、じっとしていることが多くなるとか、よくつまずくようになった場合は可能性が高いと言えるでしょう。遺伝的に罹りやすい品種としてシャム、ペルシャ、アビシニアンが挙げられます。また、タウリンの欠乏によっても発症しますので、猫にドッグフードを与えていると発症してしまいます。

脳疾患

脳腫瘍や脳炎など、脳に病変が発症した場合、ふらつきや歩行困難といった神経症状や眼振、左右の瞳孔の大きさが異なるといった症状が出ます。脳炎は比較的若齢時に、脳腫瘍は比較的老齢時に発症しやすく、病変が脳のどの部位に発症したかによりさまざまな症状が現れます。

外耳炎

耳介から鼓膜までの間が外耳で、そこに炎症が起こる病気が外耳炎です。左右の瞳孔の大きさの他に、ふらつき、歩行困難といった症状が出ます。脳疾患と似たような症状が出ますが、眼振がみられない場合は外耳炎の可能性が高いようです。また、眼振が左右に揺れる場合は耳の病気、上下の場合は脳疾患の可能性が高いようです。

さりげない観察で猫の様子を確認しよう

猫 横になる

愛猫とコミュニケーションを取るために重要なのは、目や耳、ヒゲ、尻尾といった部分になります。日頃からこれらの部位をよく観察し、愛猫との絆を深めましょう。そして、その一環として目に違和感を覚えた場合には、今回の記事を参考に、瞳孔の様子を観察してみてください。異常な場合は迷わず動物病院で診てもらいましょう。

 

関連記事一覧