
猫の便秘の原因と7つの予防法!猫にも快便で快適な毎日を!
猫、特に高齢の猫は便秘になりやすく、苦しんでいる姿を見ている飼い主さんもつらくなります。猫の便秘の原因を知り、予防法を知ることで、猫にも快便で快適な日々を過ごさせてあげられるようにサポートしましょう。また、便秘で病院に連れて行くタイミングも知っておきましょう。
猫だって便秘はつらい
猫は便秘になりやすいと言われています。猫は元々あまり水分を取らないため、うんちが硬くなり排便しづらいとか、結腸と直腸の境目あたりが他の動物よりも狭くなっているために、便秘になりやすいのだと言われています。便秘が続くと、巨大結腸症が引き起こされるとも言われています。巨大結腸症とは、結腸(大腸)の運動性がなくなり、拡張巨大化して宿便がどんどん溜っていく病気です。便が石化して糞石となってしまった場合は、麻酔をかけて物理的に排便処置をしなければならず、猫はとてもつらい思いをします。また、巨大結腸症を何度も繰り返すと、外科手術で腸を切除しなければならないこともあります。愛猫のためには、普段からお通じを良くするためのサポートをすることも大切なのです。
便秘で見られる症状
まずは、猫が便秘かどうかを判断するための基準を知っておきましょう。
<軽度>下記のような症状が見られる場合は、軽度の便秘だと言えます。 |
・うんちにつやがなく、硬くて乾いた状態である ・小さくてコロコロしたうんちである(通常のうんちは成人の人差し指程度の長さがあります) ・排便の前後に大きな声で鳴いたり歩き(走り)回ったりする ・うんちの切れが悪い ・丸2日排便がない(健康な猫は1〜2回/日程度の排便があるのが普通です。3日間うんちが出なければ動物病院に行きましょう) ・お腹が張っている |
<重度>下記のような症状が見られる場合は、重度の便秘だと言えます。 |
・1日に何度もトイレに行き、いきむがうんちは出ない(おしっこが出ない尿路感染症の場合も同様の症状が出るので要注意です) ・いきんで疲れてしまい、トイレの中でぐったりと伏せている ・いきみ過ぎて嘔吐する ・いきむ時に大きな声で鳴く ・うんちが平べったくなった状態で連なっている ・うんちの最後に薄茶色の粘膜(液)のようなものが出る ・うんちの臭いが強烈 ・お腹に触ると硬い感触がある ・嘔吐物から便のような臭いがする |
便秘になる原因
次に、猫が便秘になる主な原因を見てみましょう。
肥満 |
溜った内臓脂肪が腸を圧迫することでうんちが詰まったり、肥満のために運動不足となり、腸の動きを鈍らせたりするために、便秘になりやすくなります。去勢・避妊手術をすると猫は肥満になりやすいので、食事量のコントロールには気をつけてあげましょう。 |
高齢 |
高齢化により体内の水分量が減ったり、後肢の筋力が落ちて排便時にいきめなかったり、腸の動きが鈍ったりして便秘になりやすくなります。 |
病気や体力が落ちている |
病気などで体力が落ちると、腸の動きが鈍ったり筋力が落ちたりして便秘になりやすくなります。また、病気で長期間薬を服用している場合、その薬の副作用で便秘になることもあります。 |
水分不足 |
若い猫の場合も、水分摂取量が不足しているとうんちが硬くなってしまい、排出しにくくなります。水をあまり飲まない猫の場合は、ドライフードだけではなくウェットフードも利用して、水分摂取量を多くする工夫が必要です。また、飲水量を増やすためには、給水器や飲ませる水そのものを工夫することで効果が出ることもあります。 |
飲み込んだ毛玉が腸に溜まっている |
毛づくろいで飲み込んだ毛玉が腸に溜まり、排便しづらくなることも多いです。そのため、短毛種よりも長毛種の猫の方が、より便秘になりやすい傾向にあるようです。毎日のブラッシングは、被毛の手入れだけではなく便秘予防にも役に立つのだと心得てください。なお、ビニールなどの異物を飲み込んだ場合も、同じように便秘を引き起こすことがあります。 |
ストレス |
排便のためには、腸がきちんと蠕動運動しなければなりません。しかし、きちんと蠕動運動させるためには、ストレスで自律神経の働きを妨害してはいけません。また、猫は清潔好きなので、トイレが汚れている、トイレ周りの環境が落ち着かないなどの理由でトイレを使わなくなることも多いです。トイレの数も、適正数(頭数+1個)にしましょう。 |
他の病気 |
以前一緒に暮らしていた猫は、便秘と嘔吐で動物病院に連れて行ったところ、腸に癌ができていることが原因だと判明しました。他にも、足や腰の骨、骨盤、関節、筋肉、神経などに問題がある場合、腎臓などの内臓系疾患による脱水症状などで便秘になることもあります。このように、何がしかの病気が便秘の原因になっていることもありますので、たかが便秘だと簡単に考えず、きちんと動物病院で診てもらうことが大切です。 |
便秘の対策と7つ予防法
では、愛猫が便秘になってしまった場合の対策と、日頃からの予防法について見ていきましょう。
愛猫が便秘になってしまった場合の対策
基本的には動物病院に連れて行きましょう。そして、獣医師の診断に従うのが基本です。病院では、浣腸や摘便(指を直腸に入れて強制的にうんちを掻き出す)をしてくれます。その上で、下剤や整腸剤等を処方してくれることが多いです。また、消化器サポートの療法食を勧められたり、サプリを処方されたりします。処方された薬は、愛猫が嫌がってもきちんと飲ませることが大切です。薬は慣れてくればだんだん上手に飲めるようになりますし、薬で排便しやすくなれば、それが何よりも愛猫のためになるのです。ただし、薬がその猫に合っていないと感じた場合は、すぐに獣医師に相談し、適した薬を見つけてもらいましょう。そこは、飼い主さんと獣医師の共同作業なのだと考えましょう。
愛猫を便秘にさせないための予防法
普段から自宅でできる便秘の予防法を挙げますので、ぜひ毎日の愛猫のケアの一環として取り入れてみてください。
水分補給 |
常に新鮮な水をたっぷり飲めるようにしてあげましょう。給水器にも色々な種類があるので、愛猫の好みを見つけ、室内の複数箇所に設置してあげましょう。 |
清潔で落ち着けるトイレ環境 |
トイレの中が汚れていると、猫はそのトイレを使わなくなります。すると、排便のタイミングを逸して感覚が鈍り、便秘を引き起こすことがあります。トイレはこまめに掃除をして、清潔な状態を保つようにしましょう。また、頭数+1個のトイレを設置してあげるようにしましょう。 |
薬剤やサプリによる整腸サポート |
病院で処方された薬やサプリを、適切な量と頻度できちんと愛猫に飲ませるようにしましょう。また、薬やサプリが愛猫に合わないと感じた場合には、すぐに獣医師に相談しましょう。 |
適度な運動 |
便秘になるのは高齢な猫が多いのですが、その猫に適したレベルの運動をさせることで、筋力の維持や腸の動きの活性化を図ってあげましょう。 |
食事によるサポート |
大腸の運動を正常化させるためには、可溶性食物繊維の配合度が高い消化器サポート療法食を利用することが多いです。しかし、高齢化により栄養を吸収しにくい場合には、消化吸収の良い食事にミネラルオイルを添加する等の方法もあるようです。さらに、人間用の健康食品で宿便を出やすくする方法もあるようです。いずれにしろ、飼い主さんの勝手な判断で食事を変えるのではなく、獣医師の指示に従って、飲み薬と併用して愛猫に適した食事に切り替えましょう。 |
優しくお腹をマッサージ |
猫がリラックスしている時に、手のひらをこすり合わせる等で手を温めてから、お腹を優しくマッサージします。抱っこを嫌がらない猫の場合は、膝の上に抱いてお腹を上にし、おへそのあたりを中心に親指以外の4本の指で優しく“の”の字を書くようにマッサージします。抱っこを嫌がる猫の場合は、伏せた姿勢にさせ、手のひらを前後に動かしながら脇腹を優しく揉んであげても良いです。ただし、嫌がる場合はストレスになり、逆効果なのでやめましょう。 |
猫草を与えない |
猫草や葉野菜(キャベツなど)には不溶性繊維が多く含まれるため、うんちを硬く、かつ大きくしてしまいます。便秘や便秘気味の時には、与えないようにしましょう。 |
まとめ
私たち人間も、便秘になると苦しくてつらい日々を過ごすことになります。同じように、猫も便秘になるととてもつらい思いをするようになります。特に、高齢な猫は便秘になることが多く、側で見ていると本当につらそうです。飼い主さんの日頃のケアとサポートで、少しでも愛猫に快便で快適な毎日を過ごさせてあげられるよう、頑張りましょう!