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猫の噛み癖を治す方法

もしも一緒に暮らしている猫に噛み癖があった場合、飼い主さんと愛猫の生活も不幸になり、また来客にも被害を与えてしまうかもしれません。愛猫の噛み癖をなくすには、どうすれば良いのでしょうか。攻撃的になる猫の行動を改善するためのしつけ方について、解説します。

猫の問題行動で多い噛み癖

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猫の問題行動と言われているものの中でも、噛み癖というのは数も多く、また悩みが大きい問題だといえるでしょう。噛む頻度や力によっては、痛い思いをするだけではなく、飼い主さんが愛猫に対して恐怖心を抱いてしまうことすらあり得る問題です。また、愛猫が飼い主さんに対してのみ攻撃するのであればまだ良いですが、他人にも攻撃を仕掛けて噛むようになってしまうと、問題はさらに拡大してしまいます。猫の行動には必ず理由があります。猫が人に対して噛みつく理由を、猫が私たちに言葉で伝えることはできません。しかし、猫の行動を観察し、分析することで、その理由を探り予防することがきっとできるはずです。今回は、猫の噛み癖をなくすためのしつけについて考えていきたいと思います。

猫が物や人を噛む理由

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猫の行動専門家として、家庭で飼われている猫たちの問題行動の解決に取り組んでいるジャクソン・ギャラクシー氏は、猫が人を噛む理由として、①遊びがエスカレートして攻撃的になる、②転嫁行動として攻撃的になる、③過剰な刺激や科学作用による恐怖、縄張りにまつわる恐れ、不安、苦痛が原因で攻撃的になるを挙げています。「遊びがエスカレートして攻撃的になる」というのは言葉の通りで、一緒に遊んでいる内に猫のエネルギーが高まってしまい、興奮状態となって攻撃的になってしまうというもので、若い猫と一緒に暮らしている飼い主さんは何度か経験されているのではないでしょうか。元々猫の遊びは模擬的な狩です。狩は獲物を襲い、最終的には噛み付いて仕留めますので、興奮状態が最高潮に達すると噛み付いてしまうというのは、理解できる理由でしょう。

「転嫁行動」というのは、はたからだと「手近なものを意味もなく攻撃している」ように見えます。しかし、これはある衝動に対する葛藤の結果、全く関係のない第三者に対して攻撃をしてしまっているのです。転嫁行動を行うのは猫だけではありません。私たち人間も行います。読者の皆さんも、やりたいことがなかなかうまくいかずにイライラし、全く関係のない第三者に八つ当たりしてしまった経験があるのではないでしょうか。

「過剰な刺激や科学作用による恐怖、縄張りにまつわる恐れ、不安、苦痛が原因」についても、分かりやすいのではないかと思います。例えが逆説的ではありますが、ことわざの『窮鼠猫を嚙む』がよくこの状態を表していると思います。つまり、過剰な恐怖心を抱くと、弱者も攻撃的になり強者に立ち向かっていくというわけです。この場合、過剰な刺激や恐怖、恐れ、不安、苦痛の直接的な原因はさまざまですので、その原因を探ることが解決への近道になります。

猫の噛み癖を治すための手順

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猫が人を噛む理由が前述の①〜③のいずれであっても、噛み癖をなおすための手順は、同じです。まず猫が攻撃的になる原因を探り、猫の生活の中のどのような時間・場所で生じるのかを分析して原因を排除するということです。では、以下、手順にそって説明していきます。

病気や怪我の有無を確認する

まず、噛む理由の③の内、病気や怪我の苦痛である可能性について確認します。病気や怪我が理由である場合は、必要なのはしつけではなく適切な治療だからです。猫が人を噛む原因が、病気や怪我から来る場合、特定の方法で抱いたり特定の場所を撫でた時に噛んだり引っ掻いたりするはずです。その場合、その特定の部位に怪我をしているとか病変を抱えているという可能性がありますので、動物病院に連れていき、診察してもらいましょう。なお、一連の手順で攻撃的になる原因を探っても特定の傾向が見られず、猫の攻撃が常に行き当たりばったりであるとか、筋が通らないという場合には、脳や神経系の疾患を患っている可能性があります。その場合も、動物病院で診察してもらいましょう。

記録をつける

病気や怪我といった原因が除外されたら、いよいよ猫が人を噛む原因を探ります。そのためには、主観を排除し、冷静で客観的になって猫の行動記録をつけましょう。飼い主さんが愛猫の行動を客観的に記録するのは難しいと思いますが、主観的で感情的な視点で観察をすると、思い込みが入り込んでしまい、本当の原因をなかなかさぐりあてることができなくなりますので、注意が必要です。猫が人を噛んだり引っ掻いたりといった攻撃的な行動をとった時間、場所、その様子をノートに記録してください。

猫が噛む時間・場所を把握し、原因を究明する

飼い主さんと愛猫との生活が常にバラエティに富んでいて、生活リズムもなければ生活場所も日々変わるといったものでない限り、猫が人に攻撃的になる時間や場所やその状況には、何か決まったルールが見つかるはずです。例えば、猫が飼い主さんに攻撃的になるのはいつも出勤する直前とか、帰宅した時の玄関であるとか、リビングのテーブルで食事をしている時に足元でとかなどのようなパターンがあるはずです。または、時間はあまり決まっていないものの、休日に一緒に遊んでいるとだんだんエスカレートしてきて最後は噛まれてしまうなどというパターンもあるでしょう。中には、昼間はとてもおとなしいのに、夜中になると突然豹変して凶暴になるというパターンもあるかもしれません。

猫に合わせた時間・場所で原因となる問題を取り除く

何日か記録をつけると、前述のような猫の行動パターンが見えてくると思います。そうしたら、その時間や場所やシーンに、猫を攻撃的にする原因があるはずです。それを探っていきましょう。例えば、出勤前や帰宅時の玄関で攻撃を受ける場合、その前後に猫への給餌をすることが多いのではないでしょうか。猫にとって、ちょうどその時間にエネルギーが最高潮に達するライフサイクルになっており、かつそのエネルギーを発散することができていないために攻撃的になっている可能性が高いです。その場合は、給餌する前におもちゃで模擬的な狩の遊びをさせるようにしてから食事をさせるという、猫本来の食事を再現させることで、過剰に高まったエネルギーを発散させることができます。

また、飼い主さんの食事中に猫が飼い主さんの足元で攻撃的になるのであれば、飼い主さんの食事時間の前に猫の食事時間を設定し、おもちゃによる模擬的な狩遊びの後に猫に食事をさせ、その後飼い主さんの食事時間とすることで改善することができるかもしれません。この場合、模擬的な狩遊びはリビングのテーブルの下で行う方が効果的かもしれません。また、遊んでいるとエスカレートしてきて攻撃的になるという場合には、飼い主さんの手を猫のおもちゃにしている可能性があります。手をおもちゃの代わりにしてしまうと、猫は手を攻撃対象だと認識してしまいますので、攻撃対象が必ずおもちゃに向くような遊び方をしてあげましょう。また、夜中になると豹変してしまう猫の場合、豹変する発端が窓際だとすると、窓に映る車のライトが猫を刺激しているのかもしれません。

または、庭に野良猫が巡回してきて、その匂いや声が刺激になっているのかもしれません。猫は、「こいつに嫌がらせをしてやろう」というような感情で攻撃的になることはありません。一人暮らしだった飼い主さんの恋人に嫉妬して噛むなどということはないのです。猫が攻撃的になる様子を客観的に観察することで、きっと原因を探ることができます。私たち人間にはなかなか気づかない音や匂いの場合もあるでしょう。それらを根気よく見つけ、猫の生活時間やテリトリーに合わせて原因を排除することで、問題行動をなくしていきましょう。

自分の行動を振り返ってみることも必要

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飼い主さんの行動が、愛猫の攻撃行動の原因となっている場合もあります。原因を探る場合、ご自身の行動についても振り返ってみることが必要です。下記のような行動は、猫に過剰な刺激を与えている可能性がありますので、注意してみてください。

・猫との遊び方が荒っぽい
荒っぽい扱いは、猫の恐怖心を引き起こしたり防御行動を引き起こしたりします。猫の様子を見ながら、適切な加減を見極めましょう。
・猫への刺激(撫でる、遊ぶ等)が過剰すぎる
撫でたり遊んだりすることは、猫にとっても嬉しいことですが、それが激しすぎたり長すぎたりすると、逆に猫の攻撃行動を引き起こしてしまいます。
・飼い主さんの手を攻撃対象にさせない
遊ぶときに、飼い主さんの手を猫の遊び相手にしてしまうと、猫は人の手を攻撃対象だと認識してしまいます。子猫の時から、猫の遊びの対象はおもちゃになるような遊び方をすることが大切です。

まとめ

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朝の出勤前に猫と遊ぶなんてそんな余裕はないとか、帰宅して疲れているのに猫の食事の前に遊ぶ体力なんて残っていないとか、さらにはなかなか攻撃的になる原因が見つからないなど、ついつい諦めてしまいそうになると思います。しかし、決して諦めずに根気よくしつけをしていきましょう。猫のしつけに、「怒る・叱る・懲罰を与える」は逆効果です。怒ったり怒鳴ったり罰を与えたりしても、改善には何の役にも立ちません。猫が問題行動を起こす原因を排除し、猫の溢れるほど高まったエネルギーをうまく発散させることで、猫と飼い主さんの楽しく幸せな生活が実現します。あなたが焦ってパニックに陥ると、猫もパニックに陥ります。落ち着いて、根気よく問題解決に取り組んでください。

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