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愛猫が癌と診断されたら ~猫の癌の治療方法について~

猫に限らず犬であっても人間であっても、「癌」という一言は非常に重く、その診断結果を聞いた時に動揺しない飼い主はいないはずです。私もその中の1人で、愛犬が若くして2度癌になりました。診断結果を聞いた後は、様々な感情が溢れだし毎日が暗闇に包まれましたが、「自分が今できることをする」以外に心が楽になる方法はないことに気がつきました。ここでは愛猫が癌だと診断された時に飼い主がしなけれないけない決断、癌の「治療方法」についてご説明致します。

愛猫が癌だと診断されたら、飼い主には猫のために出来ることがいくつもあります。その中でも重要なのが「今後二人三脚で猫の癌と闘う獣医師を選ぶこと」、「細かな治療方法を決めること」です。獣医師については、これから長くなるであろう治療のことを考えて、納得がいくまで信頼できる獣医師を探すことをお勧めします。治療方法は大きく分けて、「手術」、「抗がん剤」、「放射線治療」、「東洋医学での治療」、「緩和ケアを目的とした治療」などがありますが、注意点を踏まえてご説明致します。

「信用できる獣医師」を見つける

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信用できる獣医師を見つけることは、愛猫の癌と闘う上で非常に大切なことです。飼い主の不安を取り除くことにも関連してきますが、いかに有能だと言われている獣医師であっても、その猫と飼い主に寄り添って治療方法を決めていける獣医師であることは幾度もの治療を一緒に乗り越える上では非常に大切です。
現在では「セカンドオピニオン外来」というものが復旧しています。「セカンドオピニオン外来」とは、例えば癌だと診断された病院以外の病院で、診断内容、治療方針などについて様々な意見やアドバイスをくれる外来です。

セカンドオピニオン外来で自分に合った獣医師、自分の治療方針に合った獣医師、または高度医療が受けられる動物病院などを探すことはとても大切となります。一概に癌と言っても、獣医師の見解は異なることが多々あります。癌の治療の場合は、1度の治療では済まないことがほとんどですので、しっかり納得がいくまで「獣医師探し」を行いましょう。癌の場合は、緊急性を伴うものが多いため、飼い主にとって時間がない場合が多くありますが、少なくても現在の動物病院以外に1個所はアドバイスや見解を聞きに行くことをお勧め致します。

愛猫の「治療方法」を決める

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猫は自分の意思を伝えることができないため、「治療方法」の決定については、飼い主に全てが託されます。ここで強いプレッシャーを感じる方が非常に多く、後々「これでよかったのか?」という疑問はどんな治療法を選択しても必ずと言っていいほどの確率で飼い主にまとわりつきますが、私の個人的な見解では、どんな治療法であれ飼い主が愛猫のために決断した内容であれば、すべてが正解だと考えるようにしています。治療方法の選択は、愛猫の細かな状態を分かっている飼い主が専門医と一緒に探すのが何よりも愛猫のためです。また、治療方法を決めるうえで「いかに愛猫の心身が楽な状態でいられるか」を根本に置いて治療方針の決定を下すと選択肢が狭まるのではないでしょうか。

「根治治療」と「緩和治療」

1、「根治治療」とは、完治を目指す治療です。完全に癌をなくすことを目的としており、癌の進行状態、癌の部位、年齢などによっても「根治治療」を目指して治療できるかどうかが変わります。専門医に「根治治療」ができる状態か否かを確認しましょう。可能であれば、「手術」を行い、その他のケアを行っていきます。
2、「緩和治療」とは、体による痛みや不都合から猫を解放して猫の生活の質(QOL)を上げることを目的とした治療です。

癌の5つの治療法

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癌の治療法としては、下記の5つの治療法が主なものとして挙げられます。猫の状態によって専門医としっかりと治療方法を決めていく必要があります。まずは、「その治療が愛猫の状態で現実的に実行可能か否か」をチェックして可能な治療法をリストアップすると良いでしょう。

手術での治療を検討するにあたって

手術での治療は治療方法を検討する上での一番目の関門と言えるでしょう。手術が出来る状態にあるか、を明確に主治医と話す必要があります。主治医と話す上で次の項目に着目して、現実的に手術を考えることができるのか、しっかりと話し合いましょう。

1、猫が侵された癌の種類、進行状況、部位について
癌にも様々な種類があり、その種類や進行状況、部位によって手術が可能か否かの判断が必要となります。癌の種類によっては、手術ではなく他の治療法の方が効果が期待できたり、転移しているか否かの結果や癌ができている部位によっては、手術が不可能、または難しい場合もあります。その時の状況で手術の危険性も大きく変わります。癌の種類やその広がり方、現状の猫の全体的な身体の状態を踏まえて、手術について主治医としっかりと話し合いましょう。
2、癌の摘出手術後の合併症について
癌の手術後には、手術が原因で様々な他の病気が起こることがあります。これを「合併症」と呼びますが、合併症の可能性についてもしっかりと主治医と話しましょう。
3、術後に介護が必要になるかどうかについて
癌の種類によっては、断脚など術後に介護が必要になる可能性があります。断脚とまではいかなくても、食事が自分で出来なくなったり、細かな術後の介護の必要性についてもしっかりと確認しましょう。
4、手術に伴う全ての費用の概算について
癌の手術によってもその手術費用が様々です。CT、MRIなどの精密検査や、手術自体の費用、入院費の他にも抜糸代など細かな費用が色々とかかりますので、全体的にどのくらいの費用が必要なのかをしっかりと確認しましょう。
5、手術の危険性について
 手術の危険性については、その猫の状態によって変わります。年齢的に麻酔すら危険な場合もあるので、手術の危険性については、どんな危険性がありどのくらいの確率の危険性なのかをしっかりと主治医に聞きましょう。

抗がん剤での治療を検討するにあたって

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抗がん剤治療とは、簡単に言うと癌の細胞分裂を阻害して、今ある癌を小さくする効果がある薬剤を投与する治療方法です。抗がん剤での治療を検討する上では、どの抗がん剤をどのような計画で投与するのか、また考えられる副作用などについて主治医としっかりと話をする必要があります。抗がん剤のみの治療では「根治」は大変難しく現実的ではありませんが、転移や再発予防のために手術と合わせて行われる場合が多いと言えます。抗がん剤の問題点として、次の「副作用」、また「血管外漏出」についてはしっかりと主治医の説明を受けましょう。可能であれば抗がん剤投与中の食事、運動などの日常生活の管理についても把握しておくと良いでしょう。

1、副作用について

抗がん剤の副作用については、その出方や程度、症状は愛猫の状況によって全く異なります。抗がん剤投与により、癌細胞を攻撃しますが、同時に健康な細胞も攻撃する可能性がでてきます。この時、副作用が起こります。例え同じ抗がん剤を投与してもそれらは違った形で副作用として出ます。一般的に抗がん剤の副作用というと、下記が挙げられますが、猫によっては全く副作用がでない場合もあります。基本的には抗がん剤は細胞の動きが激しい部位を攻撃するので、胃や腸、また毛根の細胞を攻撃しやすく、これらの部位に関連する副作用が出やすいと言われています。副作用があまりにひどい場合は、飼い主が再び治療方針を選択する必要性がでてきます。治療の選択肢としては「抗がん剤を他の薬剤に変えてみる」、「完全に治療を中断する」、「そのまま続ける」などがありますが、その時の「副作用の程度」と「抗がん剤が癌に対してどの程度作用しているのか」を天秤にかけて獣医師に意見を求めるのも良いでしょう。主な副作用:白血球数の減少、元気がなくなる、食欲が低下する、嘔吐が続く、下痢が続く、下血がみられる、脱毛、被毛の質の変化がみられる

2、血管外漏出について

抗がん剤の血管外漏出については、めったに起こることではありませんが、実際に友人の愛犬が抗がん剤治療で血管外漏出を経験しました。抗がん剤治療のときは必ず血管外漏出について説明を受けるかと思いますが、事前に主治医にしっかりとその可能性について確認しておく必要があります。血管外漏出とは、抗がん剤が血管の外に浸潤、または漏出してしまい、抗がん剤が血管から周囲の軟部組織に拡散してしまうことを指します。この場合、周りの組織が様々な大きなダメージを受けますが、友人の愛犬の場合は血管外の周りの組織が全体的に壊死し、血管を含める組織を切除して再構成させる必要性がありました。血管外漏出については本当にごくわずかな可能性で実際に血管外漏出が起こってしまうと、治療方法も多くの病院では手探り状態で行うので大変危険です。今回友人の愛犬の場合は、血管外漏出初期段階で断脚の可能性が高いと主治医から説明を受けていましたが、運良く断脚はなんとか回避できました。ごく僅かな例と言っても、抗がん剤投与を決めるにあたっては、血管外漏出の危険性については最優先で考えるべき事項と言えます。主治医としっかり話し合いましょう。

3、抗がん剤投与中の日常生活について

抗がん剤を投与していると、猫は体力を普段より多く消耗し、副作用によって食べなくなることも多々あります。食事はエネルギーの高い食事に変えたり、食べなくなった場合は猫の好む食事を工夫する必要があります。運動については、過剰な運動でない限りは、極端に制限しない方が猫にとってストレスとならないので望ましい、という見解の獣医師が多く見られます。しかし、猫の状況によって異なるため獣医師としっかり抗がん剤投与中の食事や運動についても話し合っておきましょう。

放射線での治療を検討するにあたって

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放射線治療とは、癌組織がある場所に放射線をあて、癌を小さくしたり消したりする治療法です。この治療は基本的には1~3分程度と言われていますが、放射線をあてている時間は猫が絶対に動かないようにしなくてはいけないため、全身麻酔をしてから放射線の治療をすることになります。麻酔によるリスクや放射線治療での副作用なども明確にしておく必要があります。

東洋医学での治療を検討するにあたって

東洋医学での治療とは、主に「鍼灸治療」、「マッサージ」、「漢方」などが挙げられますが、基本的に東洋医学はこれまで紹介させていただいた西洋医学(手術、抗がん剤、放射線治療など)の補助的な治療として取り入れるという考え方が主です。術後の猫の癌の再発防止、または緩和ケアなど、猫の生活の質(QOL)の向上のために使うことをお勧めします。現代の動物病院では東洋医学を専門に行っている病院がありますので、西洋医学での治療と並行して東洋医学での治療を検討しても良いでしょう。別の病院で東洋医学での治療を行う際は、事前に主治医にその旨を話して意見を求めましょう。

緩和ケア

緩和ケアとは、癌を含める病気全般にかかったときに猫が受ける身体的な辛さや精神的な辛さを和らげるためのケアのことを指します。一般的には、これまで挙げた治療方法と並行して行われることが多いのですが、手術や他の治療が猫の状態によって困難な場合に、病気の改善が目的ではなく猫の状態をより楽にしてあげるために取り入られることも多々あります。

まとめ

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様々な猫の癌に対する治療方法を説明させて頂きましたが、愛猫が癌になったら飼い主は精神的に不安定になりがちで、治療方針を決めるにあたり正常な判断を行うのに非常に苦労することも多々あります。しかしながら、癌だと診断された時点で猫はまだしっかりと今を生きています。猫は自分が癌であることなど知りません。猫は、今現在を精一杯に生きています。愛猫の今後の人生の生活の質(QOL)を維持、またはより豊かなものにするためには、飼い主の多くの決断が必要です。時に苦しむ愛猫を支える力強さも必要です。愛猫のために「今できることだけを考える」ことも、癌と向き合う上で大切なのではないでしょうか。

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