猫

猫の腎不全ってどんな病気?飼い主さんがしてあげられること

猫の病気の代表格と言ってもよいほど多い病気が腎不全です。腎不全は、猫と一緒に暮らす上で知っておくべき病気の一つと言えるでしょう。腎不全とはどんな病気なのか、予防することができるのか、腎不全になってしまったら飼い主さんは愛猫にどんなことをしてあげられるのかについてまとめました。

高齢猫が最も罹りやすい病気が慢性腎不全(慢性腎臓病)

猫

慢性腎不全(慢性腎臓病、CKD:Chronic Kidney Disease)は、高齢猫が罹りやすい病気で、主要な死因の一つであると言われています。腎臓病の中には、腎結石、腎盂腎炎、慢性間質性腎炎、アミロイドーシス等、色々な病気がありますが、腎臓が壊れてしまって機能しなくなった状態を腎不全と言います。腎不全には急性腎不全と慢性腎不全の2つがあり、猫に多いのは慢性腎不全です。今回は、この慢性腎不全を中心に、どのような病気で、どのような予防策があり、罹ってしまった愛猫に対してどのようなことをしてあげられるのかについてまとめました。腎不全の猫はもちろん、まだ若くて健康な猫と一緒に暮らしている飼い主さんにも知っておくべきことが多いと思いますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

急性腎不全と慢性腎不全の違い

猫

今回は慢性腎不全の話が中心なのですが、最初に急性腎不全と慢性腎不全の違いについて簡単に説明しておきます。急性腎不全は、貧血・脱水・ショック・心筋症などが原因となり腎臓に送られる血液の量が少なくなる、細菌やウィルス、ユリなどの腎毒性のある物質を摂取してしまったことが原因となり腎臓自体にダメージが与えられる、腎臓で作られた尿が何らかの原因により体の外に排出されないなどで起こる、急激に腎臓の機能が悪化した状態のことを言います。速やかに適切な治療を受け原因を取り除くことができれば、腎臓の機能が回復する可能性があります。しかし、慢性腎不全は、時間をかけてゆっくりゆっくりとなっていきます。3ヶ月以上慢性的に腎臓の機能が低下している状態を慢性腎不全と言うのです。慢性腎不全の状態になってしまったら、腎臓機能の回復は望めません。そのため、慢性腎不全にさせないようにすることが大切なのです。

慢性腎不全の症状

猫

腎臓は、血液をろ過して体内の不要物を濃縮し、尿として排泄する役割を担っています。また、体内のpHを一定に保ったり、赤血球を作るために必要なホルモンを分泌したり、骨を作るために必要なビタミンを活性化させたりする役割も担っています。そのため、腎臓の機能がなくなってしまうと、命に関わる重篤な症状を引き起こしてしまいます。

主な慢性腎不全の症状は、下記の通りです。
・多飲多尿……第一段階
・元気がない…ここから第二段階
・食欲不振
・痩せてくる
・よだれを流す
・貧血
・昏睡
ここから第三段階(尿毒症の症状が出ています)
・けいれんを起こす
・致死

飼い主さんが最初に気づくことのできる症状は多飲多尿です。しかし、多飲多尿の症状が出始めた頃はまだ元気も食欲もあるため、慢性腎不全であることに気付きづらいのが実情です。この状態で、すでに腎機能は66%も壊れてしまっています。しかし多くの飼い主さんは、元気がなくなったり食欲もなく痩せてきたりという、さらに進行した状態になるまで気付かないことが多いのです。

慢性腎不全の予防

猫

猫は、体の構造上からも腎臓病になりやすいので、若い頃から腎臓病の予防に気を使うと良いでしょう。特に慢性腎不全に気をつけるべきなのは、高齢の猫、尿石症になったことのある(特に尿管に結石ができたことのある)猫、急性腎不全になったことのある猫です。高齢猫の3匹に1匹は慢性腎不全に罹っていると言われています。また、急性腎不全になると尿細管の中に死んだ細胞が溜まってしまい、これが原因で腎臓の機能が低下します。そうなると、AIMという血中タンパク質が尿中に移行してこの死んだ細胞の塊に付着して、この塊が解消されます。しかし、猫のAIMはなかなか尿中に移行しないため、急性腎不全で低下した腎機能をなかなか回復できずに慢性腎不全に移行しやすいのです。では、慢性腎不全を予防するためには何をすれば良いのでしょうか。慢性腎不全の予防策は下記の通りです。

・塩分の多い食物を与えない
 人の食べ物は、猫にとっては塩分過多です。基本的には、人の食べ物は猫には与えないようにしましょう。
・なるべく水分を多く摂らせる
 例えば、体重3kgで1日にドライフードを35g、ウェットフードを20g食べている猫の場合、1日の飲水量は約154ml必要です。このように、フードから摂取できる水分も含めて、必要な量の水分を十分に摂らせる必要があります。
・定期的に健康診断を受け、血液検査の他に尿検査や画像検査も行う
 7歳までは1年に1回、8歳以上になったら半年に1回の健康診断を受け、血液検査だけではなく、尿検査やX線検査なども行いましょう。慢性腎不全は、症状だけではなく血液検査の数値にもなかなか現れません。尿検査やX線検査はとても重要です。筆者の愛猫も、定期的に受けている健康診断のX線検査で片方の腎臓が小さくなっていることが分かりました。早期に腎臓療法食に切り替える等の対策を打てたため、慢性腎不全が発覚した後も長く元気に過ごしてくれています。

慢性腎不全の猫に飼い主さんがしてあげられること

猫

前述の予防策は、慢性腎不全になってしまった猫にも必要なケアです。ではこれらの他に、慢性腎不全の猫に飼い主さんがしてあげられることは何でしょうか。

・正しい治療を受けさせる
 愛猫が慢性腎不全になってしまった場合は、信頼できる獣医師に診てもらい、正しい治療を受けさせましょう。飼い主さんの話をきちんと聞き、また飼い主さんが理解できるまでしっかりと説明してくれる獣医師をみつけ、わからないこと、心配なことは何でも相談できる関係を築いておきましょう。
・腎臓療法食を与える
 不幸にも慢性腎不全になってしまった場合は、腎臓療法食のキャットフードを与えるようにしましょう。
・日々の観察による健康管理
自宅で毎日できる健康管理を行い、猫の様子と共に記録しておきましょう。記録を続けることで、猫の体調を把握できるようになり、また獣医師にも正確な状態を伝えることができるようになります。少なくとも、体重、飲水量、摂食量、排尿量の計測は、毎日続けることをおすすめします。
・投薬や補液の実施
 病院から処方された薬は、毎日必ず飲ませましょう。仕事の都合で正確な時間に与えることができないこともあるでしょうが、獣医師から許容される時間の幅(前回投薬から最低でも8時間以上経過してから飲ませるように等)を確認し、それを守るようにしましょう。また、脱水症状が見られる時には自宅で皮下補液をすすめられます。針を刺してリンゲル液を注射するのは、決して楽なことではありません。しかし、補液のために毎日病院に通うのでは猫のストレスにもなりますし、何よりも治療費がかさみます。自宅で飼い主さんが愛情をもって補液してあげるのが、愛猫にとっても幸せなことだと思います。

まとめ

猫

猫の平均寿命は16歳だと言われていますが、20歳を超えて元気な猫も増えているようです。猫が、長く健康で幸せに暮らせるのは、飼い主さんの愛情と努力のたまものだと言っても過言ではないでしょう。猫も人も長生きできる時代の課題は、「いかに長く健康でいられるか」ということなのではないでしょうか。どうか、皆さんが愛猫と長く健康で幸せに暮らせることができますように。

関連記事一覧