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猫の指にまつわる七不思議

音もなく移動し、上手に木に登り、いざという時は普段隠している爪で攻撃を仕掛ける。当たり前のように見えて、他の動物とはちょっと違う。猫には、人とも犬とも違う猫独特の不思議な特徴がたくさんあります。数ある猫の不思議の内、猫の指にまつわる特徴を集めてみました。

猫には不思議がいっぱい

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猫と一緒に暮らしていると、たくさんの不思議なことに気づきます。なぜ高い棚から飛び降りても平気なのか、なぜ音もなく近くに来たりどこかに行ってしまったりできるのか、なぜ薄型テレビの上を歩けるのか等々。その謎を解く鍵は、猫の体のつくりを知ることにあります。猫の体のあらゆるところに猫ならではの特徴があるのですが、今回は、猫の指にまつわる不思議について、解説していきます。

猫の指にまつわる七不思議

猫 手

皆さんご存知のように、猫の前足と後ろ足は人の手と足に相当します。猫も人も同じ哺乳類なので、骨格や体の構造はとても似ています。似ているが故に、意外な事実や不思議がいっぱい。では、早速猫の指にまつわる七不思議をご紹介します。

1、そもそも猫の指ってどこ?

まずは、「そもそも指ってどこ?」という話です。「何を言っているの、指は前足や後足の先端にある、細長く分かれている部分だよ」と思われるでしょう。そうです。そうなのですが、でもちょっと待ってください。猫が歩いている姿をよく思い出してください。猫が地面に足をつけている部分は、ほとんど指だけだとは思いませんか?それに、猫の香箱座りは、脚のおかしなところから折れ曲がり、自分の体の下にしまいこんでいるように見えませんか?そうなのです。猫の手と足(人でいうと手首から先と踵から先に相当する部分)は、私たちの体の比率と比べるとかなり長いのです。猫が香箱座りをしている姿を思い出してください。香箱座りをしている時に地面に直接接触している部分が、猫の手と足に相当します。つまり、普段歩いている時は、前足も後足もつま先立ちをしている状態なのです。爪先立ちで歩くなんて、不思議ですよね!

2、足と後足では指の数が違う

一緒に暮らし始めると、嫌でも猫の爪切りをしなければなりません。筆者も、初めて猫の爪切りをする時はおっかなびっくりの状態でした。そして、前足の爪を切り終わり、後足に移った途端に頭を抱えました。前足にはあった親指が後足にはなかったのです。前足にはちゃんと指が5本あるのに、なぜ後足には4本しか指がないのだろうと思いました。そして、見落としているのではないかと思い、まだ子猫だった愛猫をひっくり返して後足の親指を探しました。当時は2匹の多頭飼いでしたので、2匹とも前後合わせて18本しか指がないのを確認し、猫とはそういうものかと安心したものです。

実は、他の四つ脚の哺乳類と比べると、猫の前足はとても可動域が広くて器用なことができるような構造になっています。猫がセルフグルーミングをしている様子を見ていると、前脚をくるりと回して手のひらを上側に向け、肉球を舐めては顔周りの手入れをします。人の手も同じように手のひらをくるりと回して手のひらを上にすることができます。この動きは回外と呼ばれ、霊長類とネコ科の動物以外は苦手とする動きだと言われています。

ネコ科の動物は、獲物を捕らえたり木に登ったりする際に、獲物や樹皮を鋭い爪のある手でしっかりとつかむ必要があるために、回外ができるように進化したと考えられています。なお、犬の場合は顎が前足の代わりに物を掴む役割を担っていて、前足は主に獲物を追いかけるために使われていると考えられています。猫が器用に獲物を掴めたり木に登れたりするのは、前足の指が5本ありかつ回外をすることができるからなのです。

3、普段は爪を隠している

猫は普段は爪を隠していて、いざという時にしか爪を出しません。これも初めて猫の爪切りをしたときの話ですが、切ろうとした爪が奥に引っ込んでいるので、どうすれば爪を出せるのかと苦労しました。分かってみれば簡単なことだったのですが、体をひっくり返されたりいろいろなところを触られたりと、猫にとってはいい迷惑だったことでしょう。この、普段は爪を隠していていざという時にだけ爪を出すというのも、ネコ科動物の特徴です。このことにより、足音をたてずに歩くことができ、獲物に気付かれずに待ち伏せ型の狩を行うことができるのです。また、普段爪を隠していることで、爪の磨耗を防ぎ、鋭い爪を維持することにも役立っています。唯一の例外がチーターです。チーターは、ご存知の通り素晴らしい脚力を活かした狩をしますので、足音を気にする必要が無いからだと言われています。

4、猫の爪は剥がれる

猫の爪の先はとがっていてとても鋭いです。しかし、爪とぎをしてとがらせているわけではありません。爪を使っていると摩耗して先が丸くなってきますが、内側の層に新しいとがった爪が出来てくるので、爪とぎをして古い爪の層を剥がし、新しい爪を出しているのです。猫と一緒に暮らすようになってしばらくしたら、床に猫の爪が落ちていてとても驚きました。やはり、これも猫と一緒に暮らして初めて知ったことの一つです。

5、肉球の役割

猫は爪を隠した状態で歩くので、足音をたてないという話をしました。それにしても、猫はいつも音もなく足元に座っていたり、いつの間にかどこかに行ってしまったりします。しかも、高い棚から飛び降りても音がせず、しかも平然としていてなんのダメージも受けていません。それは、肉球のおかげなのです。肉球が足音を消してくれ、棚から降りた時のクッションとなって猫へのダメージをなくすのです。また肉球は、猫にとって唯一汗をかくことができる部位です。この汗の匂いでマーキングをしたり、また高いところを歩く時などに緊張して汗をかくことで、滑り止めの効果を発揮したりするのです。

6、幸せを呼ぶヘミングウェイ・キャット

以前NHK BSプレミアムの人気番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」を見て、ヘミングウェイ・キャットのことを知りました。多指症の猫です。かつて、オスの三毛猫はとても珍しいからと、お守りとして航海に連れて行かれました。それと同じように、多指症の猫は指が多くて器用なのでよくネズミを捕るからと、航海に連れて行かれたのだそうです。アメリカのノーベル賞作家であるヘミングウェイが船乗りから譲り受けた2匹の猫たちも多指症でした。その猫たちを、ヘミングウェイは幸せを呼ぶ猫だとしてとても可愛がったそうです。その猫の子孫たちの多くが多指症で、今では博物館となったヘミングウェイの家で、今でも幸せに暮らしているのだそうです。テレビの画像で見た多指症の猫たちは、とても足が大きいということ以外は、特に不自由そうな様子はなく、普通に暮らしていました。獣医学的にも、多指症の猫は指が多いだけで、特に健康上に問題はないということが分かっているそうです。

7、犬は喜び庭駆け回り、猫はこたつで丸くなる理由は肉球にあった

童謡でも歌われているように、雪の中で楽しそうに走り回って遊ぶ犬と、暖かいところでぬくぬくと暖をとりながらうつらうつらしている猫。その理由は、実は肉球の構造の違いにあったのです。犬の肉球はざらざらしていますが、猫の肉球はつるつるしています。犬の肉球は「表皮乳頭」という起伏で覆われているからです。この表皮乳頭により、直接地面に接する面積が少なくなり、犬は地面の冷たさにも強いのです。また、犬の肉球に流れている動脈と静脈の間には「動静脈吻合(どうじょうみゃくふんごう)」と言って、毛細血管を介さずに、動脈と静脈が直接大きな径の血管でつながっています。

この動脈と静脈をつないでいる血管が拡張すると、冷たい地面と接している足先の血流が増加し、凍傷を防ぎます。また、静脈血が冷え過ぎず、低体温症を防ぐことができるのです。この、表皮乳頭と動静脈吻合により、犬は雪の中でも元気に走り回ることができ、猫は雪の冷たさに耐えられずこたつの中で丸くなるというわけだったのです。この違いは、犬の祖先であるハイイロオオカミが寒冷地で暮らしていたのに対し、猫の祖先であるリビアヤマネコは砂漠地帯で暮らしていたということが関係していると考えられています。

まとめ

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今回は、猫の指にまつわる七不思議をご紹介しましたが、猫には指だけではなく、他にもいろいろと不思議な点があります。猫と一緒に暮らしている方は、愛猫をよく観察して不思議な点をたくさんみつけ、そして解明していってください。きっと、今以上に楽しく暮らせることでしょう!

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