夜の猫

猫が明け方に行う運動会の理由と対策方法

猫と一緒に暮らしていると、夜中や明け方になると猫が大騒ぎを始めるということがよくあります。「猫の運動会」とか「夜中の運動会」などと言われている行動です。自分一人ならまだしも、集合住宅などの場合は、下や横の部屋への騒音なども気になります。どうすればやめさせることができるのでしょうか。

夜に運動会をするのはお化けだけではない!

夜の猫

人気アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌で、お化けは夜になると墓場で運動会をして楽しいと歌われていますが、夜に運動会をするのはお化けだけではありません。猫は、夕方や明け方になると、部屋中を走り回ったり高いところに駆け登ったり飛び降りたりと、大騒ぎをすることが多いです。多頭飼いの場合は、部屋中を複数の猫が右に左に、上へ下へと追いかけっこで大騒ぎです。なぜ、猫はそんな時間に大運動会を繰り広げるのでしょうか。今回は、猫の運動会はなぜ起こるのか、この行動を防ぐ方法はあるのかについて考えていきます。

猫の運動会

猫

動物には、遺伝的に組み込まれた、それぞれの種に固有の行動パターンがあります。そしてその行動パターンは、同じく遺伝的に決定された特定の刺激によって引き出されます。この行動パターンを引き起こす特定の刺激を、鍵刺激と呼びます。しかし、行動を誘発する内的原因が激しく上昇すると、行動を起こすための閾値が下がり、鍵刺激がなくても行動が起こってしまうのです。この現象を真空行動と言い、それまでおとなしくしていた猫が、突然家中をドタバタと走り回って暴れ出すことも、真空行動の一つだと言われています。つまり、猫の運動会とは、猫のある内的原因が激しく上昇したことで、本来の鍵刺激がなくても起こってしまった、「遺伝的に組み込まれている行動パターン」、いわゆる本能的な行動だということになります。それでは、猫の運動会を起こしてしまう内的原因とは何なのでしょうか。

猫は薄明薄暮性の動物

猫

猫は夜行性だと言われています。しかし、正確に言うと「薄明薄暮性」の動物なのです。薄明薄暮性とは、採食、生殖などの活動を、主に明け方(薄明)と夕方(薄暮)に行う性質のことを言います。猫の獲物が最も活発に行動する時間帯が明け方と夕方なので、猫も同じ明け方と夕方に起きて行動するのが、猫にとっては自然な生活リズムなのです。猫の住環境にもよりますが、猫の運動会と言われている行動が起きる時間も、夕方と明け方が多いと言われています。筆者の家の猫たちも、夕方の4時と明け方の4時になると活発に行動をし、まだ子猫だった頃は、それこそ大運動会を展開していました。

このことから、猫の運動会は、昼間たっぷりと蓄えたエネルギーが溜まり過ぎたことにより、獲物であるネズミがいなくても引き出されてしまった狩猟行動の代償行動だと考えられているのです。そのため、運動会が始まってしまったら、飼い主さんが怒っても騒いでも、猫たちの行動を止めることはできません。それどころか、飼い主さんが反応すると、ますます興奮してしまうことでしょう。運動会が始まってしまったら、猫のエネルギーが消耗されるまでは、黙って待つしかありません。

猫の運動会を誘発させないための工夫

猫

猫が激しい運動会を繰り広げるのは、主に生後2〜3ヶ月頃から2歳頃までが多いようです。成猫になると、だんだん激しさが薄れていき、そのうちに運動会と言えるほどの運動量ではなくなっていき、頻度も減っていきます。また、激しい運動会を繰り広げている時間も、長くて20分というところでしょう。元々、猫は待ち伏せして獲物を捕まえるというスタイルの狩猟方法をとる動物で、瞬発力は素晴らしいのですが、激しい運動をすると筋肉に疲労物質である乳酸が溜まってしまい、すぐに疲れてしまうからです。猫と一緒に暮らしている環境が、広い一軒家で、運動会が繰り広げられても誰にも迷惑がかからないという環境なのであれば、思う存分運動会をさせてあげられるでしょう。しかし、そのような恵まれた環境で暮らすことのできる方は、そう多くはないでしょう。では、猫に運動会をさせないために、どのような工夫をすれば良いのかについて、考えていきましょう。

猫本来の生活サイクルを考える

運動会をさせないために、夜はケージに閉じ込めてしまうというような方法は、猫にとっても人にとっても好ましい解決策だとは思えません。猫にはものすごいストレスがかかりますし、猫がケージの中で暴れたり大声で鳴いたりすることで、人にもすごいストレスがかかるからです。猫に自然な生活をさせたまま解決する方法を考えるべきです。そのために、まずは猫本来の生活がどのようなものなのかについて、整理しましょう。猫は、人のように学校や会社に通ったり、自営で商売を行ったりすることはありません。生きていくためにはまずは食べることです。食べるために猫が行うことは、狩です。狩をして、捕まえた獲物を殺し、それを食べるのです。

そして、毛繕いをして体のメンテナンスを行い、眠ります。これが猫の1日なのです。前述の通り、猫は素晴らしい瞬発力を備えていますが、すぐに疲れてしまう動物です。そのため、狩に備えて1日の大半を寝て過ごします。寝て、体にエネルギーを蓄えるのです。そして、獲物が活発に活動を開始する時間に目を覚まし、狩を行い食事にありつきます。食後に毛繕いを行うと、また寝て次の狩に備えるのです。これが、猫の基本的な生活サイクルです。飼い主さんは、まずこのことをよく理解する必要があります。

猫の生活サイクルをそのままに、時間帯を人に合わせるための工夫

前述の猫の基本的な生活サイクルを崩してしまうと、猫に大きなストレスを与えてしまうことになります。そのため、まず猫と一緒に暮らす人は、猫の生活サイクルを崩さないようにしてあげる必要があります。しかし、狩の時間を明け方のままにしておくと、猫の運動会は人にとって耐え難いものになってしまうので、猫の生活サイクルはそのまま残し、時間帯を人の生活に合うようにしていけば良いのです。では、具体的にどのようにすれば良いのかをみていきましょう。

まずは猫の食事時間を決めよう

猫の生活サイクルの内、食事は毛繕い、睡眠の前ということになります。つまり、人が就寝する時間の少し前に食事をさせるようにすれば、猫は人と一緒に夜を眠って過ごしてくれるようになります。猫の行動専門家として有名なジャクソン・ギャラクシー氏は、1日2〜4食で、次の食事までに5〜6時間空けるのが理想的だと言っています。もちろん、理想的な生活を提供できるのが一番ですが、人には人の事情もあります。独身で、外に働きに出ながら猫と一緒に暮らしている人に、この生活は難しいでしょう。できる範囲での工夫で構わないので、とにかく1日の最後の食事は、人が寝る少し前になるように習慣化しましょう。

食事の前には狩をさせる

さて、ここが一番の重要課題です。猫に食事をあげる前には、必ず猫と一緒に遊んでください。遊びというのは、「擬似狩猟」のことです。猫じゃらしや釣竿タイプのおもちゃを使い、猫に狩をさせ、獲物を捕まえさせることです。猫は、長時間運動することができませんので、おもちゃを獲物のように動かして捕まえさせようとする活発な運動は、短い時間(猫にもよりますが5〜10分程度)にし、獲物を一旦隠してしばらく休憩させます。その後、また獲物を登場させて活発に運動させます。それを何度か繰り返して、最後には猫に捕まり、しっかりととどめを刺させます。つまり、捕まえた獲物を弄ばせるのです。そこまでで、猫の狩の一連の行動が終了しますので、食事にしてあげましょう。そして、食事は静かで落ち着ける場所で食べさせるようにしましょう。

ポイントは猫と人の生活時間を合わせること

ポイントは、人が起きて活動している時には猫も活動させる。人が寝ている時には猫も寝かせるということです。つまり、前述の擬似狩猟を行い、猫に食事をさせて猫が寝る時に、あなたが起きていてはいけないのです。人と猫の生活リズムを連動させることがポイントです。たった1度や2度で猫の生活時間が人の生活時間と連動できるわけではありませんが、この生活を習慣化していけば、猫の生活時間と人の生活時間を合わせることができるはずです。

それでも猫が明け方に運動会をしてしまったら

猫と人の生活時間が連動するまでの間や、連動した後でも、もし猫が明け方に起きだして運動会をしてしまっても、絶対に猫を怒ったり物を投げつけたり大声で喚いたりしてはいけません。それは、猫にとって興奮を激化させる要因にしかなりません。猫にとっての一番のお仕置きは、「無視する」ことです。猫が何度明け方の運動会をしても、その都度必ず無視してください。猫に関心を向けずに、頑張って寝続けてください。そうすれば、やがて猫は明け方の運動会をやらなくなるはずです。

まとめ

猫

犬は人と似ている部分があり、リーダーに従うという習性を持っています。しかし、リーダーに従う習性のない猫には、「しつけはできない」と思っている方も多いことでしょう。でも、猫にしつけをすることは可能なのです。ただ、その考え方や方法が、私たちの感覚とは異なるだけなのです。猫と一緒にうまく暮らしていくための工夫は、まさに飼い主さんの腕の見せ所です。猫を擬人化して考えてしまうと難しいかもしれません。飼い主さんが猫の習性を学び、猫の気持ちになって考えてあげることが必要なのです。

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