猫

猫のグルーミングの必要性とやり方

愛猫の日々のお手入れはとても大切です。日々のお手入れを通して、愛猫と飼い主さんの絆は深まり、愛猫の健康管理もしっかり行えるようになります。猫のグルーミングについて、その必要性や方法を、皮毛のお手入れを中心に考えていきます。

グルーミングはなぜ必要なのでしょうか?

猫グルーミング

グルーミングと聞いて思い浮かべるのはどんなことでしょうか。猿がお互いに毛繕いをしている様子を思い浮かべる方も多いことでしょう。動物園の猿山に行くと、独りで毛繕いをしている猿や、お互いに毛繕いをしあっている複数の猿を必ず目にします。霊長類のグルーミングは有名ですが、他にもグルーミングをする生き物は、昆虫、魚類、鳥類、コウモリ、有蹄類など、沢山います。自分で自分の毛繕いをしている場合はセルフグルーミング、複数の仲間同士で毛繕いをしあっている場合は社会的グルーミングと言い、哺乳類はよく社会的グルーミングを行います。猫も、多頭飼いの場合にはよくお互いにグルーミングしあっているところを見ることができます。

もちろん、猫はセルフグルーミングもよく行います。これには、自分を清潔に保つという意味と、ストレスを緩和するという意味があると言われています。飼い主さんが愛猫にグルーミングをすると言った場合は、上記の意味合いとは少し異なり、猫の身体の全体を手入れすることを意味します。つまり、愛猫のブラッシング、コーミング、シャンプー、目や耳の掃除、爪切り、歯みがきといったことを意味するのです。(この場合は、「馬丁が馬の手入れをすること」という意味で使われていたグルーミングが元になっています)今回は、グルーミングの中でも特に皮毛のお手入れを中心に説明したいと思います。

猫の皮毛について、概要を知っておきましょう

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健康で清潔な猫の皮膚と被毛は弱酸性です。しかし、垢などで汚れた状態だとアルカリ性になり、そのままにしておくと皮膚病に罹りやすくなります。また、猫の被毛は密度が高くクッション性があるため、衝撃を吸収して皮膚を守り、換毛による体温調節を行います。また、猫の魅力の一つである美しい姿も、艶のある豊かな被毛が作り出しています。人間の毛髪は7〜10年周期で抜け替わりますが、猫の毛は少なくとも年に1回、身体全体の毛が一度に脱毛し、新しい毛に生え変わります。これを換毛と言い、梅雨の前後に発生します。

長毛種と短毛種でグルーミングの方法が異なります

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猫の品種は代表的なもので50種程度ありますが、各国で共通的に用いられている分類方法の一つに長毛種と短毛種という分け方があります。猫は、本来は短毛の動物ですが、品種改良により長毛種の品種が固定化されました。そのため、長毛種の猫には、短毛種の猫以上の手入れが必要なのです。その大きな違いが、被毛のグルーミングです。具体的には、ブラッシング、コーミング、そしてシャンプーです。特にシャンプーは、長毛種の猫には必須のグルーミングになります。

グルーミングに必要な道具

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グルーミングに必要な道具について、主なものを挙げて説明します。

ブラシ

ブラッシングは猫のグルーミングの最も基本となるもので、短毛種にも長毛種にも欠かせない手入れです。ブラッシングは皮膚や被毛の新陳代謝を促し、皮膚病やノミ、ダニの寄生を見つけるチャンスでもあります。ブラッシングを怠ると、猫がセルフグルーミングで大量の抜け毛を飲み込んでしまい、毛球症になりやすくなります。

ブラシにはラバーブラシ、ピンブラシ、ナイロン製のブラシ、獣毛ブラシ等があります。ご自分の愛猫にあったブラシを購入し、グルーミングしてあげてください。

ラバーブラシ

小さな突起がついたブラシで、死んでいる被毛(抜け毛)を取り除くと共に、皮膚へのマッサージ効果があります。換毛期に短毛種の大量の抜け毛を取り除く時には手袋形のラバーブラシを使うと効果的です。ただし、ラバーブラシを過剰に使用すると健康な毛まで抜いてしまいますので、やり過ぎないように注意が必要です。

スリッカーブラシ

先が「くの字」の形に曲がった細い鋼が長方形の面に密集している形状のブラシで、抜け毛を除去して毛のもつれをほぐし、同時に皮膚を刺激します。長毛種、短毛種のどちらにも使えます。鋼の先が「くの字」の形に曲がっていて、かつ先端が丸くなっている物もあるので痛くはありませんが、力を入れすぎると皮膚を傷つけるので注意が必要です。

ピンブラシ

長毛のもつれをほぐします。ブラシの先端が丸くなっていて弾力のあるものを選びましょう。

ナイロン製の剛毛ブラシ

被毛に光沢を与えます。ブラッシング時に静電気が起こりやすく、キューティクルを傷つけやすいので、このブラシを使う場合はブラッシングの前に水かコンディショナーを被毛にスプレーし、湿らせてから行うと良いでしょう。

獣毛ブラシ

艶出しの効果は減りますが、ナイロン製のブラシよりも静電気が発生しにくいという利点があります。

コーム (櫛)

抜け毛を取り除いたり毛玉をほぐしたり、毛並みを整える時に使用します。長毛種のグルーミングはコームとブラシを併用するのが効果的です。

フェースコーム

歯が短くて目が詰まった櫛です。顔などの、毛が短いところを梳く時に使います。

両目コーム

18cm程度の長さで、半分が細目、残りの半分が太目になっている櫛です。細目は毛が短いところに、太目は毛が長いところに使います。毛のもつれをほぐし、毛の流れをスムーズにします。

のみ取り櫛

目が細かい櫛で、ノミを取り除く時に使います。ただし、被毛が抜けすぎたり切れたりすることがあるので、顔周りには使わないでください。

毛玉切り

鎌状になっていて、先端がナイフになっています。お腹などにできた毛玉の処置をさせてくれない猫に対して使用し、毛玉をカットします。安全にできていますが、使用角度を誤ると皮膚を傷つけることがあるので、注意が必要です。

仕上げ用の大櫛

シャンプー後に長毛を乾かす時やグルーミングの仕上げに使う大櫛です。毛を膨らませながら綺麗な毛の流れを整えます。

布類等

グルーミングに使用する、布類等の道具を紹介します。

絹製の布

短毛種に光沢を与えたい場合に、絹製の布で磨きます。これは、必須のグルーミングではありません。

ペーパータオル、バスタオル、タオル

シャンプーを行なった後の水分のふき取りに使用します。しっかりと水分を拭き取っておくと、猫が嫌うことの多いドライヤーの時間を短縮できます。

ガーゼ

洗顔や涙焼けを手入れする時に使います。薬局で、滅菌済みのガーゼを購入することもできます。

綿棒

耳の掃除をする時に使います。通常は、水で湿らせて使用すれば十分綺麗にできますが、汚れがひどい、掃除をしても2〜3日後には真っ黒な耳垢が溜まっている等の時は、耳ダニの可能性が高いので、獣医師に診てもらいましょう。

シャンプー、リンス

長毛種の猫には、シャンプーも必須なグルーミングです。特に、猫はセルフグルーミングで身体全体を舐めますので、シャンプーやコンディショナー、リンスは、舐めても安全なものを選びましょう。具体的には、有害な成分が混合されている合成洗剤、蛍光入りの物、染料入りの物、リンス・イン・シャンプー等は避けましょう。

また、ノミ取り効果や皮膚病専用のシャンプーを予防のために使用するのも駄目です。猫は嗅覚の鋭い動物ですので、香りが強いシャンプーやリンスも避けましょう。飼い主さんの手が荒れないというのも、猫に優しいかどうかを判断する指標になります。

その他の道具類

上記の他に、爪切り、歯ブラシ、ドライヤーも必要です。また、歯みがきシート、耳掃除シート、ペット用ウェットシート等、色々な製品が出ていますので、自分や愛猫にあった製品をみつけてください。

また、猫には爪と牙という武器がありますので、万が一の場合を考え、飼い主さんのための消毒薬や絆創膏も常備しておいた方が安心です。

グルーミングの方法

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それでは、長毛種と短毛種それぞれのグルーミングの方法をみていきましょう。

長毛種のグルーミング

長毛種の猫はシャンプーが必要で、月2回程度がおすすめです。猫は水を嫌う動物ですので、生後3ヶ月頃から水になれさせて、シャンプーができるようにトレーニングしましょう。長毛種の魅力は被毛の美しさです。また、毛が長いので毛玉ができやすいため、長毛種の被毛のお手入れは重要です。

コーミングとブラッシング

長毛種の場合、コーミングとブラッシングは毎日行いましょう。始める前に、爪が伸びているようなら、爪を切っておきましょう。グルーミングの最中、万が一猫が嫌がった場合に、大きな怪我をせずにすみます。長毛種は、コーミングがメインです。毛の長い部分は太目、顔などの毛が短い部分は細目を使って梳きます。頭から背中、腰、尾の付け根までを、毛の流れに沿って梳いていきます。四肢や尾も、根元から先に向かってやさしく梳いていきます。毛玉がある場合は櫛で梳く前に、指でほぐしてください。目立たない部分の毛玉はカットしても良いですが、目立つところ、特に首回りはカットせず、指で縦にほぐして被毛を残してあげましょう。櫛で梳いている時に引っかかる場合は、そこに毛玉がありますので無理に引っ張らず、丁寧に毛玉をほぐしてください。

毛玉が取れ、スムーズに櫛で梳くことができるようになったら、ブラッシングに移ります。ピンブラシまたはスリッカーブラシを使って毛並みを整え、ハードタイプの獣毛ブラシでツヤを出します。被毛が長いので、特に脇や太ももの周りは丁寧に、毛玉ができないようにしてあげましょう。ただし、脇や内腿の皮膚は薄くて弱いので、あまり皮膚に押し付けず、丁寧に優しくブラッシングしましょう。ブラッシング中、全身の皮膚のチェックもしっかりと行ってください。異常が見つかった時は、すぐに獣医師に診てもらってください。

シャンプー

月に2回程度は、コーミング、ブラッシングの後に続けてシャンプーを行います。シャンプー前に、耳掃除もしておきましょう。普段から耳を触って、平熱の時に耳の暖かさを覚えておきましょう。シャンプー前に、耳がいつもより熱い場合は熱がありますので、シャンプーは行わず、獣医師に診てもらう等で原因を探りましょう。シャワーの適温は38〜42℃です。季節によりますので、温度は目安と考え、飼い主さんの手のひらで感じる心地よいぬるめの温度にするのが良いでしょう。猫の身体が入る十分な大きさの洗い桶に、猫の足が隠れる程度のお湯を張り、足先から浸します。

最初に被毛の表面にある油脂分を取り除くための油落とし専用シャンプー液等を付けて、5〜10分おいた後に洗い流します。次にシャンプー液を付けて毛の根元から毛先に向かった毛の流れに沿って優しく洗います。顔は薄めたシャンプー液に浸したガーゼで、お湯やシャンプーが目に入らないように丁寧に洗います。怖がらないように、飼い主さんは常にやさしく愛猫に話しかけてあげてください。一旦、十分に洗い流して二度目のシャンプーをします。泡立ちが悪い等気になる場合は、何回かシャンプーを繰り返します。シャンプーが終わったら、希釈したリンス液をかけ、完全にすすぎます。シャンプーやリンスの匂いが身体に残らないように、しっかりとすすいでください。

手で毛を軽く絞り、しっかりと水気を切ってからバスタオルに包んで、よく水を切ります。5分程度が目安でしょうか。この時、綿棒で耳の中の水分も軽く拭き、刺激のない目薬をさしてあげると良いでしょう。仕上げにドライヤーで乾かします。ドライヤーの音を嫌う猫が多いので、タオルでくるんだまま、少し離れた所でスイッチを入れ、音や温風に慣れさせてからタオルを外します。ドライヤーの熱が一点に集中しないよう、小刻みに振ってください。美容師のように、自分の手の甲で温度を確認し、熱くなりすぎないようにしてあげてください。しっかりと乾いたら、毛の流れに沿って軽く櫛を入れ、毛並みを整えて完了です。

短毛種のグルーミング

短毛種の場合は、特別なことがない限りシャンプーをしなくても大丈夫です。セルフグルーミングで十分清潔な状態を保てます。また、ブラッシングも換毛期でなければ1週間に2〜3回で大丈夫です。換毛期には、1日おき程度にブラッシングをしてあげましょう。

最初にラバーブラシで抜け毛を浮かび上がらせ、次にスリッカーブラシで抜け毛をかき集めます。最後にナイロン製またはソフトタイプの獣毛ブラシで艶出しをしてあげましょう。最後のブラッシングは、整える程度に軽く行う程度で構いません。

グルーミングで猫と仲良く楽しい生活を!

猫寝てる

上手にグルーミングを行うことで、飼い主さんと愛猫の絆が深まり、常に愛猫の健康状態を確認することができます。また、愛猫の全身を触れるようになっておくことは、後々の愛猫のケアを考えてもとても重要なことです。日常的なケアは飼い主さんにとって大変かもしれませんが、愛猫と一緒に楽しみながら行い、良い関係を築いて長く楽しく幸せに暮らしていきましょう。

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