猫と魚

猫にお刺身を与える際の7つの注意点

お刺身好きが多い日本人が、愛猫と一緒にお刺身を美味しく食べたいと望んでも不思議ではありません。ただ、人が普段よく食べている魚介類の全てが、猫にとっても同じようによく食べさせても良いとは限りません。猫にお刺身を食べさせる時に注意しなければならないことをまとめました。

日本に住んでいる猫は魚好きが多い

猫

毎週日曜の夕方に放送されている国民的人気アニメ番組の主題歌でも「お魚くわえたドラ猫、追っかけて…」と歌われているように、日本では猫と魚は切っても切れない関係だと思われています。お店でキャットフードの棚を除くと、「マグロ味」「かつお節入り」等と書かれたドライフードや缶詰がずらりと並んでおり、実際に猫たちも喜んで食べています。しかし、輸入品のフードを見ると、あまり食材に魚が使われているものがなく、鶏肉、牛肉等の肉類をベースとしたフードが多いことに気づきます。よく考えてみると、猫は水を嫌うのが一般的です。わざわざ嫌いな水の中に入って魚を取ろうとするでしょうか。

元々、猫はネズミを取ってくれるからという理由で人と一緒に暮らし始めた動物なのですから、魚よりも肉の方が好きだというのは、ごくごく自然なことなのです。しかし、日本人は昔からとてもよく魚を食べる国民でした。そして、昔は人が食べるものをそのまま猫にも与えていました。そのため、日本人は猫に魚を与え続け、「猫も魚が好きな動物だ」と思い込んだのです。猫にしてみても、小さな頃から魚をよく食べている訳ですから、自然と魚好きになっていったという訳です。

魚好きならお刺身を食べさせてあげたい!

猫と魚

前述の通り、日本人は魚をよく食べます。そして、中でもお刺身は魚料理の中でも人気があり、かつご馳走感の高い食材です。自分たちが好きなお刺身なのだから、魚好きの猫もきっと好きに違いない。たまには猫と一緒に美味しいお刺身を味わって特別な時間を過ごしたいと思うのは、ごく自然な流れと言えるでしょう。しかし、今や人が食べる物をそのまま猫に与えるのは良くないことを、ほとんどの方が知っている時代です。「猫にお刺身をあげても良いのだろうか」「鮑やイカを食べさせると耳が落ちたり腰が抜けたりするらしいけど、他にも食べさせてはいけない魚介類があるのではないだろうか」等と心配されている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、猫にお刺身を与える際に注意しなければならないことをまとめました。飼い主さんと愛猫との、楽しい食生活の参考にして頂けると幸いです。

猫にお刺身を与える際の注意点

猫

では、猫にお刺身を与える際に注意しなければならない点について、細かく説明していきます。「これは大丈夫」とか「これはダメ」と単純に覚えるのではなく、何故ダメなのかを知ることで、猫にとってより良い健康管理をしてあげられると思います。

猫にお刺身を沢山与えるのはダメ!

前述の通り、元々魚は猫の主食にはなり得ない食材です。お刺身を猫の主食にはしないでください。一般的には、総合栄養食のキャットフードを主食とし、お刺身はおやつ程度の量に押さえましょう。科学的な根拠がある訳ではありませんが、1度に与える量は、多くても1切れ程度が目安でしょう。魚の種類にもよりますが、お刺身を与えすぎた場合に懸念される中毒症状には下記のようなものがあります。

<ヒスタミン中毒>
魚を常温で放置しておくと、ヒスタミンが生成されます。一度生成されたヒスタミンは、加熱しても分解されないので注意が必要です。新鮮な魚を購入し、常温では放置しないことが大切です。ヒスタミン中毒の症状は、下痢、嘔吐、舌や顔の腫れ等です。
<ビタミンB1欠乏症>
魚介類に含まれるチアミナーゼという分解酵素により、ビタミンB1(チアミン)が破壊されて欠乏症を引き起こします。症状は、食欲低下、嘔吐、体重減少などで、ひどくなると痙攣を起こしたり姿勢や歩き方に異常をきたしたりすることもあります。
<各種アレルギー症状>
 前述以外のアレルギー反応を起こす猫もいるので、注意が必要です。症状としては、下痢や嘔吐、痒がる、元気がなくなる、白目が充血する等です。お刺身に限らず、初めての食材を与えた時は、しばらく様子を観察し、異常があったらすぐに対処できるように心がけておくと良いでしょう。

猫にお刺身を頻繁に与えるのもダメ!

いくら一度に与える量が少なくても、頻繁に与えてしまうと結局沢山食べさせることになってしまいます。お刺身を毎日与えることはせず、たまに食べるご馳走とか特別な日のご馳走という感覚で与えるのが良いでしょう。これも科学的な根拠がある訳ではありませんが、月に数回といったところが目安でしょう。また、市販のキャットフードも、魚がメインのものばかりに偏るのではなく、肉類がメインのフードと交互に与えるなど、あまり魚系の食事に偏らないようにする方が好ましいようです。

お刺身の寄生虫に要注意!

魚や肉には、寄生虫がいることが多いです。お刺身で最近特に有名なのが、アニサキスです。アニサキスは、2〜3cmの細長くて白い、紐のような体型をしている寄生虫で、目視で確認することができます。食べてしまうと、胃や腸の粘膜に潜り込むので、胃や腸に激痛が起こります。熱に弱いのですが、お刺身の場合は生食なので、あげる前に小さく切り、目視確認すると良いでしょう。また、冷凍でも死滅しますので、冷凍で市販されている場合は安心です。なお、アニサキスは人でも同じように危険なので、注意しましょう。

お刺身の小骨は取り除いてあげて!

大抵の場合、市販のお刺身は小骨が取り除かれています。しかし、万が一のこともありますので、与える前によく注意して確認しましょう。また、自らお刺身にして猫に与えるという時は、必ず小骨が残っていないように注意してあげてください。

お刺身に調味料や薬味は厳禁!

人のように、お刺身にお醤油などの調味料をつけるのは厳禁です。塩分は腎臓に高負荷をかけるためです。マグロを漬けにして召し上がる場合は、漬けにする前に愛猫の分を取り分けておいてあげましょう。また、ネギやニンニクで和えてあるようなお刺身も、猫に与えてはいけません。ネギやニンニクに含まれている成分が、溶解性貧血を引き起こす可能性があるためです。

注意が必要なお刺身の種類

もしも猫にお刺身を与えるのであれば、白身魚のお刺身が最も適していると言えます。脂肪酸が少ないからです。ただ、適量であれば、マグロやカツオも大丈夫です。逆に、脂の乗っている魚については、与えないか、またはごく少量に抑えることが望ましいでしょう。その他、注意が必要なお刺身の種類や与え方について、詳しく説明していきます。

甲殻類

イカ、カニ、エビ等の甲殻類は、チアミナーゼという分解酵素を大量に含んでいます。そのため、ビタミンB1が破壊されてビタミンB1欠乏症になる恐れがあります。チアミナーゼは加熱することで破壊されますので、もしも猫に与えるのであれば、必ず加熱してください。「猫にイカを食べさせると腰を抜かす」というのは、この症状を指しています。

貝類

鮑、つぶ貝、ホタテ等の貝類は、時期により内臓に有害な貝毒を蓄えるため、生食させるべきではありません。貝毒により、光線過敏症を発症する恐れがあるからです。光線過敏症は、毛の薄い耳に発症し、腫れや痒みが生じます。さらに進行すると組織が壊死してしまいます。「猫に鮑を食べさせると耳が落ちる」というのは、この症状を指しています。特に3〜5月は貝の毒素が強いので、絶対に与えないことです。ただし、有毒な成分は内臓に含まれています。お刺身のホタテは大抵貝柱だけなので、それは大丈夫でしょう。

青魚

サバ、イワシ、アジ等の青魚に含まれるDHAやEPAは、人だけではなく猫にも良い成分です。特にEPAは血液の流れをよくするため、腎臓病の軽減に寄与するとも言われています。しかし、青魚に含まれる不飽和脂肪酸により、猫の体内の脂肪が酸化して黄色脂肪症(イエローファット)になる恐れがあるのです。青魚は生食でも焼いてもこの恐れは変わらないため、いずれの場合もたくさん食べさせすぎないことが肝心です。

ウニ

ウニは塩分が含まれているので、腎臓への負担が高くなり、腎臓病を引き起こしやすくなるので、あまり与えない方が良いでしょう。

ふぐ

ふぐもチアミナーゼを多く含んでいるため、生食は避けた方が良いでしょう。また、ふぐは他の魚よりも身が固いので、猫が喉に詰まらせてしまうリスクが高いです。なお、人と同様に、免許を持っているプロの調理師が調理したふぐ以外は、猫にも与えてはいけません。

乾物

最後に、お刺身ではありませんが、誤解が多いので乾物についても触れておきます。かつお節や煮干しについてです。かつお節も煮干しも、昔から日本では普通に猫に与えていましたし、一般的に猫が好きな食べ物だと認識されています。実際に、猫たちも喜んで食べます。しかし、これらの乾物は、人用の物だと塩分が多く含まれているので、猫にとっては良い食材だとは言えません。また、ペット用の減塩の製品であったとしても、リンやマグネシウムといったミネラル分が多く含まれるため、泌尿器系の疾患を引き起こすリスクが高い食材です。あまり猫に与えるべき食材ではありません。もし与えるとしても、ごく少量に抑えるようにしましょう。

まとめ

猫

愛猫と一緒に大好きなお刺身を食べたいと思う飼い主さんも多いでしょう。注意事項を守り、適度な頻度と量で、愛猫と特別な晩餐を楽しむことは、飼い主さんにとっても愛猫にとっても、楽しく幸せな時間になることでしょう。しかし、基本的には総合栄養食を主食とし、お刺身は特別なおやつとかご褒美という位置付けだという考え方にしましょう。また、好きなだけ与えるというのはもちろん、無理に食べさせるということも禁物です。愛猫の健康管理は飼い主さんにしかできないことなので、時には心を鬼にして、しっかりと愛猫を守ってあげてください。

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