猫

猫の祖先と歴史!日本にはどのように猫はやってきたのか?

私たちの身近な場所で生活をしている猫。マイペースで自由なその様は、見ているこちらまで和ませてくれます。家で猫と一緒に暮らしている人もいれば、飼ってはいなくても道端で、駐車場などでのんびりと歩く猫を見る機会はあるでしょう。私たちが気づいた時には、いつでも身近にいた猫たち。彼らはいったい、どこからやってきて、いつから私たち人間と一緒に暮らしていたのでしょうか?今回はそんな猫の祖先についてご紹介したいと思います。

イエネコのルーツ“リビアヤマネコ”

今現在、私たちの知る猫のことを飼い猫、野良猫の区別なく“イエネコ”と呼びます。そんなイエネコは、“リビアヤマネコ”という野生のヤマネコが祖先といわれています。2007年に発表されたイエネコのDNA検査結果によると、イエネコとリビアヤマネコが同じ系統に含まれるという解析結果が出たことからその説が有力とされています。リビアヤマネコは現在もアフリカ・中近東に生息しており、“アフリカンワイルドキャット”や“デザートキャット”の名でも呼ばれています。デザート(砂漠)というだけあって、過酷な乾燥地帯を生き抜く猫の特性が現代の猫にも残っています。

猫のおしっこが濃いのは、なるべく外に出す水分を少なくするためだといわれています。リビアヤマネコの、その見た目は日本猫のキジトラ(ブラン・タビー)にそっくりの色柄です。体は茶色い毛並みに、黒いしま模様が薄く入っています。額にはアルファベットの“M”のような模様が、目尻にはアイラインのような“クレオパトラ・ライン”が見られます。体調は45~80cm、体重3~8kgと一般的なイエネコでも見られる大きさです。

家畜として人間のそばにいた猫

ヤマネコ

もともと野生であったヤマネコが、いつの間にか人間と共存し家畜化したことでイエネコになっていったといわれています。ヤマネコは餌であるネズミを追ううちに行動範囲を広げ、いつの日か人間に出会ったのです。古くから人間の主食であった、大麦や小麦の栽培が盛んであり、貯蔵してあった穀物を荒らすネズミなどの害獣や害虫を猫が捕食していました。猫は穀物には手を出さないため、人間たちも大変喜び重宝しました。しかし、人間が猫を捕まえて檻に入れるなどして、家畜化したわけではありません。いってみれば、猫が自ら家畜化したといえるでしょう。猫は農業を行う人間の傍で、ネズミを捕食しました。人間も、農作物には手を出さず、害獣を駆除してくれる猫に、なにかを強制することなく言わば、好きにさせていたのでしょう。

そうしているうちに、猫と人間は一緒に暮らすようになっていったのです。お互いの利害が一致したのでしょう。現在の品種である“メインクーン”や“アメリカンショートヘア”も、もとは農場などで害獣駆除をしてくれるハンターのような存在として活躍していたのが始まりです。ネズミなどの害獣駆除は、農作物を守るのはもちろん、伝染病などの疫病を予防する副産物的な効果もあったのですちなみに、また違う時代の話ではありますが、かつてヨーロッパで行われていた魔女狩りで猫を大虐殺した暗い過去があります。その際、あまりに猫を減らしてしまったせいで、ネズミが大量発生しました。その結果、ネズミに付着していた、ペスト菌をもつノミを介して人間にもペスト菌による伝染病が大流行したのです。

話は戻りますが、そんな猫はただの家畜ではなく、愛玩動物や時には信仰対象の神として扱われるようになっていきます古代ローマや古代エジプトでは、貴族が猫を飼い、愛でていました。3,600年ほど前のエジプトの壁画には猫と一緒に暮らす様子が描かれており、また、猫を神として祭っていた形跡も発見されています。猫を“バステト神”という女神として崇め、猫が死ぬとミイラにして埋葬していました。あまりに狂信的に動物信仰をしたことで、エジプトの文明を滅亡に導いたとも。エジプトが猫を信仰していることを知っていた敵国であるペルシャ軍は、猫を盾にして攻め込んだのです。信仰対象の猫が盾にされては、エジプトの兵士も手が出せなかったようで、その戦いに敗れてエジプトは滅んでしまったのです。

ちなみに今現在、最古の飼育例として発掘されているのは、地中海のキプロス島のシロウロカンボス遺跡です。発掘されたおよそ9,500年前の墓から成人の人間と共に、猫の骨が発掘されたのです。しかし、地中海のほとんどの島に猫は生息していなかったので、人間が連れてきたものと思われます。(この猫のDNAもやはりリビアヤマネコが祖先である解析結果でした。)まだまだ、世界の猫が関わったといわれる歴史は数多く存在しています。気の遠くなるような、ずっと昔から人間と猫は共に生きてきたのですね。当時存在していたヤマネコも種類はいたのですが、ほとんどは野性味が強すぎて人間になつきませんでした。

そんななか、リビアヤマネコは性格に変化があったのか、人間との共存ができたのです。人間と暮らしやすい、比較的穏やかなリビアヤマネコの個体は人間に守られ一緒に暮らすうちに、肉食獣としての獰猛さが更に薄まっていったのでしょう。そして、突然変異や交配を繰り返すうちに現在のイエネコの姿になっていくのです。やがて、世界に文明が広がるにつれて、猫も人間と一緒にアジアや欧州へ広がっていきます。大航海時代には人間につれられて、猫も新大陸へ渡りました。シルクロードを旅した仏教徒や交易商人、船乗り、探検家などが連れて行ったのです。

日本にはどのようにやってきたのか?

猫

日本へ猫がきたのは6世紀くらいで、中国を経由してやってきたといわれています。仏教が伝来する際、中国からの船に乗ってきた猫が日本でのはじまり。当時の船では渡航の期間が長く、その間ネズミなどの害獣から積んできた食べ物や書物を守るために、猫は同乗してきたのです。飛鳥時代から奈良時代にはすでに、猫は日本にいたようです。また、平安時代には高貴な身分の人々に飼われていたという記録が残っています。宇多天皇(867年~931年)も自らが飼っていた黒猫の飼育日記を残しています。かわいらしい見た目と、自由な性格が貴族にも愛されたのでしょうか。養蚕が盛んだった時代は、蚕をネズミから守るためにもネコは活躍してきました。

現在のイエネコ

猫

かつては害獣を駆除するハンターの役割として重宝された猫も、現在では特に労働を求められる機会もなくなりました。一日ただ、のんびりと過ごしているだけで、その愛らしい姿は私たち愛猫家を癒してくれます。そんな猫が時々、室内で虫を見つけた際などに野生的な姿を見せると、遠い昔の名残なのかと、しみじみ思いを馳せてしまいます。猫はこれからも私たち人間の傍にあるのでしょう。

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