猫の舌

猫のベロ(舌)の意外と知らない5つの役割

猫にとって、ベロ(舌)はほんの小さな器官にすぎません。でも、ベロはその小ささに反して、とてもさまざまな役割を果たしているのです。時々ベロをしまい忘れて愛嬌のある顔を見せてくれる猫たちの、ベロ(舌)の役割について、解説します。

意外と活躍している猫のベロ(舌)

猫の舌

普段生活しているとあまり気にしないベロ(舌)ですが、猫は時々ベロ(舌)をしまい忘れておどけた表情をしていたり、飼い主を起こそうとした猫に舐められた鼻先がヒリヒリしたりと、猫のベロ(舌)は意外と自己主張をしています。猫があくびをしたり水を飲んだりというタイミングで、ベロ(舌)をよく観察してみると、ベロ(舌)の周縁部はそうでもないのですが、中央部分の広い範囲がザラザラしているのが分かります。私たち人や犬とも異なる構造をしている猫のベロ(舌)ですが、一体どのような働きをしているのでしょうか。

大活躍する猫のベロ(舌)5つの役割

猫の舌

猫の前肢は犬よりも器用に動くようにできていますが、人程には器用に使えません。その代わり、猫のベロ(舌)は、人の手に代わってとてもたくさんのことを上手にこなしているのです。では、猫のベロ(舌)の活躍ぶりについてみていきましょう。

1、命の番人!優秀な鮮度チェッカー

ベロ(舌)と言えば、私たちがまず思い浮かべるのが「味覚」を感じる感覚器官であるという事でしょう。もちろん、猫も舌で味を感じています。猫も、人と同様に舌の表面に分布している味蕾という器官で味を感じます。また、味の基本感覚が甘い、酸っぱい、苦い、塩辛いという4つであることも、人と同じです。しかし、人の舌には9,000ある味蕾が、猫には780しかありません。犬でも1,700ありますので、人や犬と比べると、猫は味についての感度は低いようです。これは、完全肉食動物である猫が、味よりも食べ物の鮮度を優先させてきたからだと言われています。何故ならば、腐った食べ物を食べてしまうと命取りだからです。

その為、猫は、甘味を感じるのはごくわずかで、酸味と苦味に対してかなり敏感です。特に甘みに関しては、糖分には反応しません。プロリンやリジンなどの、肉に含まれている甘いアミノ酸に反応します。もしもあなたと一緒に暮らしている猫が、あなたが食べているケーキなどのクリームを欲しがったとしたら、それは甘くて美味しそうだからという理由ではありません。クリームに含まれている脂肪分に反応しているのです。猫は炭水化物を消化できませんので、飼い主さんにとって美味しい物でも、猫に与えて良い訳ではないのだということは、覚えておきましょう。とにかく、猫にとっては味よりも鮮度の判別が第一です。猫の命を守っているのが、猫の舌なのです。

2、効率的にブラッシング!

猫は、親愛の情を示すために人の皮膚を舐めてくれます。しかし、舌の表面がザラザラしているので、長く舐められるとヒリヒリしてきて困ってしまうことがよくあります。猫の舌の中央部分に広く分布しているこのザラザラしたものを、糸状乳頭と言います。この糸状乳頭が、猫に舐められるとヒリヒリする原因です。糸状乳糖は、円錐を半分に割ったような形で湾曲し、喉の方向に反った形をしています。この糸状乳頭の向きは固定されておらず、グルーミングの際に舌が毛玉に触れると糸状乳頭がいったん逃げるように回転し、これが戻ろうとする力のおかげで、糸状乳頭がさらに毛の奥へと入り込み、毛玉を解消するのです。

そのため、糸状乳頭は短い突起であるにも関わらず、長い毛の外側の層のみならず、柔らかくて密生している下毛の汚れやその下の皮膚までをも清潔に保つことができるのです。ただし、ペルシャ猫のような長毛種の猫には、やはり飼い主さんのブラッシングが必要です。

3、汗をかけなくても体温調節は任せろ!

猫は、セルフグルーミングで自分の全身を舐めることで毛皮に唾液を塗り、体温調節をしています。唾液が蒸発するときの気化熱で、最大で16℃程の冷却効果を得られることが確認されています。抜群のブラッシング効果を発揮した糸状乳頭は、ここでも重要な役割を果たしています。糸状乳頭の独特の形状は、とても効率的に水を吸い上げることができます。糸状乳頭の一つ一つが吸い上げられる量はほんの水滴程度ですが、1日かけると、猫の舌は平均して48ml(コップの約5分の1)の唾液を毛皮に塗ることができるのだそうです。

4、優雅に水を飲み、辺りを濡らすことはありません!

犬や猫は、どちらも同じような姿勢で舌を水に入れて飲んでいます。しかし、犬が水を飲んだ後は、容器周辺の床がびしょびしょに濡れているのに、猫の場合はそんなことがないとは思いませんか。犬は水に深く舌を差し入れて、おたまですくうようにして水を飲むので、水がよく跳ねて辺りが水浸しになりやすいのです。しかし猫は、舌の先を少しだけ水につけ、舌を縦に引き上げることで水柱を作ってそれを口に入れて飲むので、水が跳ねないのです。それで、周辺も自分の事も、水に濡らすことなく優雅に水を飲むことができるのです。これも、糸状乳頭の効果の一つですね。

5、野生の時には手の代わりだった糸状乳頭

ブラッシングや体温調節に大活躍の糸状乳頭ですが、野生で暮らしていた頃は、この糸状乳頭にはさらにもう一つの役割がありました。それは、獲物の骨に残った肉片を削ぎ落とすことです。現在は、自ら獲物を捕獲して暮らしている猫は少なくなりました。人と一緒に暮らしている猫は、大抵の場合はキャットフードや飼い主さんの手作り食を食べているので、骨についた肉をそぎ落とす必要はないでしょう。たかがベロ(舌)ですが、猫のベロには本当にさまざまな役割があることがわかりました。そして、その大半が糸状乳頭のおかげだということも分かりました。愛猫が、親愛の情を込めて舐めてくれる時、痛くても少しは我慢しようという気持ちになったのではないでしょうか。

ベロ(舌)のしまい忘れが人気の猫たち

猫の舌

猫がベロをしまい忘れて出しっぱなしにしている様子は、愛嬌たっぷりで可愛らしいです。その姿が人気を呼び、SNSに写真や動画が数多く投稿されています。ついには、そういう写真ばかりを集めた写真集まで出版されました。猫が舌を出しっぱなしにしている時は、基本的に猫がリラックスをしている時です。また、一所懸命にグルーミングをしている時に、急に呼びかけられたり気になる音が聞こえたりしてフリーズし、舌が出たままということもよくあるようです。猫は、顎の大きさに比べて舌が長く、また前歯が短いので舌の収まりがあまりよくない構造であることも、舌が出やすい一因です。

いずれにしろ、これらの場合は軽く舌をつつくと慌ててベロを引っ込めるので、特に問題はありません。ただし、猫が犬のように舌を出して口でハァハァと呼吸をしている場合は、正常な状態とは言えませんので、動物病院で診てもらうべきです。また、舌の色が赤すぎる場合は歯周病や口内炎、白い場合は貧血が懸念されます。普段は見えないベロが見えた時には、ちょっと注意して観察すると良いでしょう。

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